AKEBONO REPORT 2014
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研究(摩擦挙動メカニズム)を中心として研究開発に取り組んでいます。安全性、快適性、長寿命に向けた摩耗制御に寄与する独自材料開発、脱枯渇、戦略資源を狙った低環境負荷型の材料開発、鋳鉄のレアアース削減、新分野開拓をめざした機能性粒子の創製、摩擦材材料の摩擦挙動現象との関係、ゼロエミッションに向けた表面処理技術などの研究テーマを遂行し、他社との差別化、優位性確保を図っています。【北米】 北米自動車メーカーは以前より、複数の州で条例化された摩擦材の新たな環境規制に対応する新摩擦材や次世代ブレーキの製品開発に取り組んでいます。日系自動車メーカーも開発から量産までの現地完結型開発を展開しています。摩擦材は、乗用車からピックアップトラック用まで高性能で音振特性に優れ、前述の新たな環境規制に対応するさらに環境に配慮した材料開発を行っています。 ブレーキの機構開発は、乗用車からSUV、ピックアップトラック用までの幅広い開発活動と軽量アルミ合金によるディスクブレーキの開発も展開しています。またディスクロータ/ドラムブレーキも量産展開し、ブレーキモジュール開発による軽量で音・振動特性に優れた高性能、高品質な製品開発を行っています。電動化技術は、日本と連携しながらお客様の声を反映させた開発を進めています。【欧州】 欧州における摩擦材開発に関しては、高速でのユーセージに対応する高性能(効き、ジャダー)および、音・振動特性REACH※の導入など、環境規制の厳しい欧州市場に適合する摩擦材から日米市場向け輸出欧州車に適合する摩擦材まで幅広いお客様ニーズに対応できる開発を行っています。欧州市場でのお客様にも対する摩擦材の開発、生産の供給体制を整えています。現地調達原材料による材料の共通化・欧州製法の導入により、コスト競争力の強化を目的とした開発をしています。 開発拠点のあるフランス以外では、ドイツに開発の現地法人を置き、よりお客様に密接したディスクブレーキ適用開発を進め、イギリスの現地法人では、モータースポーツ用ディスクブレーキ開発および高性能車両向けディスクブレーキ開発に特化し、日本と連携しながら開発を進めています。【中国】 新興国市場のニーズに合わせた製品提供のため、現地のお客様の声を反映させた製品の開発・設計をしています。摩擦材においては、部品・原材料の現地調達化と現地の環境に適した生産により、新興国市場で通用するコストと性能特性を有する製品開発を行っています。ディスクブレーキは、中国市場のお客様の要求や使われ方を調査・分析し、必要な機能・性能を低コストで提供できる製品開発と提案を行っています。【タイ】 成長著しいアセアン諸国向けのブレーキ開発の拠点をタイで2014年1月に新たに設立し、地産地消を基本に現地開発、現地調達を更に促進し、お客様のニーズを反映した開発を推進します。※ REACH(Registration, Evaluation Authorization and Restriction ofChemicals:化学物質の登録、評価、認可、および制限に関する規則) 当社グループでは、コア技術である「摩擦と振動、その制御と解析」技術を活かし、自動車のみならず、あらゆる交通機関の各種ブレーキ製品を担う新摩擦材・次世代型のブレーキの開発を進めています。また製品開発を支える基礎技術、解析の深化を重点的に行うための研究開発への投資と開発体制の充実を図っています。 開発戦略としては、“環境・低コスト・高性能”の3軸を基本とし、音・振動に対する知見をさらに深化させ、C&S+t(共通化・標準化+特性)の思想に基づいた軽量化・電動化などの環境対応技術開発、低コストブレーキ開発、高性能ブレーキ技術開発を進めています。これらの開発は日本・米国・欧州・中国に加え、成長著しいアセアン市場をにらみ2014年1月には新たにタイに開発拠点を設立しました。今後も、地産地消を基本に現地開発、現地調達をさらに促進し、グローバル拠点間での特長を活かしながら、必要な技術を駆使してグローバル競争力を高めた次期製品開発に注力しています。 各地域での研究開発は以下の通りです。【日本】 ブレーキ摩擦材開発は、高性能化と低コスト化という市場・お客様ニーズの二極化に対応した開発取り組みを進めています。乗用車用高性能パッドと低コストパッドを中心に、高性能で音・振動特性に優れ、かつ昨今着目されてきているホイールダストを低減させ、環境に配慮した安全な摩擦材原材料を使用した高品質な製品の開発を進めると同時に、低コスト化についても、性能や環境へ配慮しながら開発を進めています。米国の複数の州で条例化された摩擦材の新たな環境規制に対応するため、新摩擦材の開発に取り組んでいます。 ディスクブレーキ・ドラムブレーキの開発でも、高性能化と低コスト化の両面から開発に注力し、高性能車対応として開発されたアルミ合金製対向型ブレーキは高い評価をいただきました。 現在開発中の高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキは、F1用ブレーキ開発で培った技術を活かし、部品の共通化・標準化の徹底、コスト競争力の向上、抽出されたリソースの新規開発への配分増加により、差別化製品を提供します。 環境に配慮した製品開発も、車の燃費向上の観点から革新的な軽量化と引き摺り低減に取り組んでいます。電動化技術ではブレーキに小型電気モーターを搭載し、電気信号で制動を行える電動ブレーキ、パーキング機能のみを電動化した電動パーキングといった製品の技術開発を北米と連携しながら行っています。またグローバルでの供給をさらに強化させるため、技術面とコスト面のベンチマークを徹底して行い、使用地域の独自性や使用状況に応じた製品づくりへの技術開発を進めています。 中央技術研究所は、①素材開発(摩擦特性制御、低環境負荷)②次世代摩擦材の開発(小型、軽量化、高性能化)③摩擦現象の2013年度地域別研究開発(億円) (%)研究開発費総額(左軸)    対売上高比率(右軸)0408012004812’09 ’10 ’11 ’12 ’13 (年度)92100 10582894.4 4.8 4.46.34.1※上記には、研究開発費と日常的な改良に伴って発生した研究開発関連の費用が含まれています。研究開発関連の総額※

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