曙ブレーキ工業株式会社

代表挨拶

Message from the President & CEO

いま、すべての社員が一丸となって皆様の声にお応えする。
それが私たちの使命です。

自動車業界は大きな変革の時代を迎えています。この変化に対応していくための礎となるのは、創業以来90年以上に及ぶ歴史の中で、長年培ってきた技術であり、それを受け継ぎ、発展させてきた社員一人ひとりです。

akebonoは、2019年10月に新経営体制を発足させ、事業再生計画の下、事業構造改革の各施策に取り組んできました。拠点の再編や生産最適化といった各施策を、事業再生計画に沿って着実に実行しています。さらに将来の持続的な成長に向けたビジネスの基盤強化も着々と進めています。

しかしながら、この数年、コロナ禍に加え、半導体不足をはじめとした部品供給不足などによる完成車メーカーの減産、原材料価格やエネルギーコストの市況高騰など、大変厳しい状況が続きました。このような厳しい事業環境下ではありますが、2024年6月末までの事業再生計画は、必ず達成しなければなりません。

この事業再生計画を達成し、その先の成長を成し遂げるためには、社員一人ひとりの力が必要です。そのための指針として、私は「5つの目指す姿」を掲げました。それは、「①徹底的にお客様第一であること」「②受身ではなく提案型、気概と執念を持ち、やり遂げること」「③コスト意識を持つこと」「④5ゲン主義(現地 現物 現認 原理 原則)であること」「⑤頑張りや成果を出す社員に報いること」の5つです。

akebonoの培ってきた技術を活かし、社員一人ひとりが力を合わせて、事業再生計画を達成するための指針が「5つの目指す姿」であり、それはそのまま、当社の強みを表す言葉でなければならないと思っています。

さらに、モノづくりの企業として、世界の安全・安心に貢献する、それもまた我々の使命だと考えています。長年、サステナビリティへの取り組みを進めてきており、製造工程におけるCO2排出量を半減させた摩擦材の開発や、燃費、さらには電動車の電費を抑える、引きずり抵抗を抑えたブレーキの開発など、環境負荷低減に向けた取り組みも実施しています。こうしたakebonoの技術は、これからの社会に大きく貢献するものであると確信しています。

akebonoは、事業再生計画の達成とその先の将来の成長に向けて、2023年度の会社方針を「1.事業再生計画の確実な達成」「2.競争力の原点となるモノづくり強化“SQDC+Eのさらなる推進”」「3.将来の持続的成長を睨んだ、事業シナリオの作成と展開」と定めました。特にモノづくりの企業として競争力を向上し、事業再生計画の達成につなげるため、「S:安全」「Q:品質」「D:納期」「C:コスト」、さらに「E:環境」を重要課題として、向上活動に取り組んでいます。これらの活動を着実に進め、会社方針を実現するべく、akebonoは、全社一丸となって真摯に取り組んでまいります。

皆様のご支援に心より感謝申し上げますとともに、今後とも皆様のご理解・ご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

曙ブレーキ工業株式会社
代表取締役社長 CEO
宮地 康弘

akebonoグループの原点を示す「曙の社是・理念」

総合ブレーキメーカーとしての理念、
私たちはそこから未来に続く第一歩を踏み出します。

社是「誠和魂(せいわこん)」「以誠接人」誠をもって人に接し「似和計事」和をもって事を計り「以魂貫志」魂をもって志を貫く

誠実に人と接すること、人との和をもって物事を進めること、魂をもって志したことをやり遂げること。その大切さを説いたこの社是は、1964年に制定され、同年には現在も続く社内報「誠和魂」(せいわこん)も創刊されました。これにより、社是は今も社員に広く浸透しています。

「曙の理念」私達は、「摩擦と振動、その制御と解析」により、ひとつひとつのいのちを守り、育み、支え続けていきます。

akebonoは、グループ全体の求心となる理念のもと、akebonoが進むべき道を示すことが重要と考え、1999年に『曙の理念』を制定しました。

「摩擦と振動、その制御と解析」は、akebonoのコア技術です。「制御」が「解析」の前にあるのは、解析する前に、まず、困っているお客様の問題解決に取り組む、そして、その解析も怠らないというakebonoの姿勢を表しています。

守っているのは人のいのちだけではありません。「ひとつひとつのいのち」には、人間だけでなく、草木に至るまで、地球上のあらゆる生物、引いては地球環境そのものもいのちのひとつとみなし、それらを守り、育み続けていくために、健全な経営のもとで企業価値を創出していくことを定めています。

私たちは、「曙の理念」を実現することで、持続可能な社会の発展に貢献していきます。

事業再生計画

事業再生構築のための施策への取り組みをご紹介いたします。

曙ブレーキグループは、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)の中で全てのお取引金融機関からご同意いただいた事業再生計画に沿って、事業再構築のための各施策に取り組んでおります。

  1. 事業再生計画では、全ての拠点・事業部門において、聖域なき構造改革を実行し、黒字化の実現を目指す
  2. 事業再生計画を達成し、曙ブレーキグループのさらなる成長につなげる
事業再生計画期間
2019年9月18日(事業再生計画の成立日)~2024年6月30日(事業再生計画の計画期間の終了日)
事業再構築のための施策(骨子)
  1. ①経営体制の強化
  2. ②事業構造改革
  3. ③財務体質健全化

事業構造改革の各地域における施策とその進捗

日本

計画
生産性改善、合理化及び経費削減等のコスト削減、工場の縮小及び低採算製品・不採算取引の改善、並びに設備投資、開発費、親子ローン等の支出項目について、厳格な承認プロセスの再構築
主な実施施策とその進捗
  • 施策
    本社間接系従業員の早期退職措置
    進捗

    実施済

    • 募集期間:2020年2月24日~2020年3月23日
    • 実施期間中の自己都合退職者を含めると、計画は概ね達成。
  • 施策
    国内生産拠点の早期退職措置
    進捗

    実施済

    • 募集期間①:2020年12月21日~2021年2月12日
    • 募集期間②:2022年12月19日~2023年2月9日
    • 募集人数を上回る応募があり、計画は達成。
  • 施策
    国内4工場の縮小
    進捗

    実施中

    • 当初計画の山陽製造の段階的な縮小・閉鎖及び福島製造の縮小を国内4工場の縮小に変更。
    • 国内工場間の生産移管が2022年10月に計画より前倒しにて完了。引き続き工場の生産最適化に向けた改善活動を継続中。
    • 国内生産再編にともなう人員適正化を実行。その他、生産最適化に向けた各施策を着実に実行することで固定費削減を進め、計画達成を目指す。
  • 施策
    連結子会社との吸収合併
    進捗

    実施済

    • 事業再構築に向けた構造改革の一環として、開発体制をさらに集中・強化し、競争力を高めることを目的として、連結子会社である(株)曙ブレーキ中央技術研究所、(株)曙アドバンスドエンジニアリングを吸収合併。
    • 連結子会社で培ってきた基礎研究、先端技術の研究及びその開発、事業のノウハウを受け継ぎ、当社で一体的な事業運営を行うことによる相乗効果により、全体の開発力強化につなげる。
  • 施策
    日本橋本店の売却
    進捗

    実施済

    • 2020年3月に完了。

北米

計画
工場の閉鎖及び売却、資金管理面での承認プロセスの遵守並びにその他コスト改善
主な実施施策とその進捗
  • 施策
    生産2拠点の閉鎖
    進捗

    実施済

    • テネシー州の工場とサウスカロライナ州の工場の閉鎖が完了し、土地・建物等の売却処理も完了。
  • 施策
    生産拠点の最適化
    進捗

    実施中

    • 北米における事業再構築のための施策として、2025年12月を予定としてケンタッキー州のエリザベスタウン工場の生産を終了・閉鎖し、米国1工場体制を確立することを決定。

欧州

計画
事業及び拠点再編を含む構造改革
主な実施施策とその進捗
  • 施策
    フランスの拠点の閉鎖
    進捗

    実施済

    • Akebono Europe S.A.S.(フランス)の解散が予定どおり2022年6月末に完了。
    • フランスのゴネスにある研究開発拠点は、2021年3月末に閉鎖が完了し、その後進めていた土地・建物等の売却も2022年6月末に完了。
    • フランスのアラス工場は、2022年6月末に閉鎖が完了し、その後進めていた土地・建物等の売却も2023年4月までに完了。
    • 営業利益の黒字化が実現されたこと及び将来の新規受注の可能性が高いことを理由に存続を決定したスロバキア工場及びそれを支援するドイツ拠点は、新規のお客様も含む複数のお客様から引き合いをいただいており、新規受注活動を鋭意展開中。
  • 施策
    英国の拠点の閉鎖
    進捗

    実施済

    • 閉鎖を完了。

お客様のニーズに
お応えするために

お客様のご要望にお応えするために、私たちは開発から製造まで最善を追求し続けています。

akebonoは「お客様ニーズ」と「社会ニーズ」に応えていきます。

akebonoは独立系ブレーキ専業メーカーとして、世界中のお客様に安全と安心を提供しています。

コンパクトカー向けからハイパフォーマンスカー向けまで、さまざまなカテゴリーの製品を開発・製造。多様な分野への展開とともに、次世代技術の開発に注力することで、安全・安心な社会づくりに寄与していきます。

開発・実験設備

高性能ダイナモメーターの導入により、過酷な条件下での走行をシミュレーションすることが可能となりました。

ダイナモでは、速度のみならず、温度や風速などの走行環境を変えることができ、お客様の様々な要求に応える環境を再現することができます。回転しているローターにかかるブレーキパッドの面圧を解析することも可能となり、ブレーキパッドの偏摩耗を防ぐなど、ブレーキの制動力に直結する解析技術の向上に大きく貢献しています。

200km/hを超える高速走行から急ブレーキをかけ、ブレーキの性能を評価・検証

製品ラインナップ

akebonoは「安全」というテーマを最優先に製品を開発・製造しています。

akebonoは総合ブレーキメーカーとして、ディスクブレーキパッドやドラムブレーキライニングなどの摩擦材、ディスクブレーキ、ドラムブレーキなどの機構部品を開発、製造しています。さらに、自動二輪車、鉄道車両、産業機械など、幅広い分野のブレーキ製品を製造しています。また、ブレーキの振動解析技術を活かしたセンサー製品も開発・製造しています。

自動車用製品

  • 高性能量販車用6ポットブレーキキャリパー

  • 高性能量販車用10ポットブレーキキャリパー

  • 高性能車用10ポットブレーキキャリパー

  • 耐久レース用ブレーキキャリパー

  • 耐久レース用ブレーキキャリパー

  • 乗用車用フローティングタイプディスクブレーキ

  • 商用車用フローティングタイプディスクブレーキ

  • オポーズドタイプディスクブレーキ

  • 乗用車用ドラムブレーキ

  • 商用車用ドラムブレーキ

  • ディスクブレーキパッド

  • ドラムブレーキライニング

  • 高性能量販車用10ポットブレーキパッド

  • 高性能量販車用6ポットブレーキパッド

  • 耐久レース用ブレーキパッド

自動二輪車用製品

  • 自動二輪車用ブレーキキャリパー

  • 自動二輪車用マスターシリンダー

鉄道車両用製品

  • 新幹線用ディスクブレーキ

  • 新幹線用等面圧ディスクブレーキライニング

  • 在来線用ディスクブレーキライニング

  • 鉄道車両用制輪子

  • 地下鉄用ディスクブレーキライニング

産業機械用製品

  • フォークリフト用ドラムブレーキ

  • カーエアコン用クラッチフェーシング

  • エレベーター用ブレーキシュー

  • ラフテレーンクレーン用ディスクブレーキ

補修品

  • ブレーキパッド(アフターマーケット製品)

センサー製品

  • センサークラスター

  • 車両挙動監視装置(鉄道車両用)

  • 脱線検知装置(鉄道車両用)

技術力と品質管理

求められることの、さらにその先に向かう。チャレンジすることこそが私達の提案です。

理想を実現するために、さらに過酷なフィールドを求めて。

akebonoはブレーキのエキスパートを目指し、2002年にモータースポーツへの挑戦をスタートさせました。2007年にはF1へのブレーキ供給も開始。F1をはじめとしたモータースポーツへの挑戦は、akebonoの技術力向上とエンジニアの育成に大きく寄与してきました。F1への挑戦が高性能車向けブレーキの開発や採用にもつながり、市販の量産車の技術レベル向上にもつながっています。

常に根底に流れるチャレンジ精神とともに次世代へ。

加速する自動車の電動化や自動運転化に対応すべく、電動ブレーキの開発に注力しています。akebonoは、1つのモーター出力を2つのピストンに伝達できる独自構造の中・小型トラック用電動パーキングブレーキを開発しました。また、高性能車用ブレーキの開発で培ってきた技術を活かして、スポーツタイプの電気自動車用にオポーズドタイプ電動パーキングブレーキキャリパーも開発し、量産を開始しました。

生産に関わる全てのシーンに、さらに向上するきっかけがあると私たちは考えています。

安全と品質を担保し生産性を向上させ「原価低減」「人財育成」へ。

akebonoは、各生産拠点でSQDC+E向上活動に取り組んでいます。この活動の基本的な考え方は、「安全と品質を確保しながら、納期厳守や原価低減に向けて活動すること」です。各生産拠点で、それぞれ「S(Safety:安全)」「Q(Quality:品質)」「D(Delivery:納期)」「C(Cost:コスト)」「E(Environment:環境)」の担当リーダーを定め、各自の目標を宣言し、拠点の社員全員参加で活動に取り組んでいます。

真摯に向き合い本質的な解決を目指す「5ゲン主義」。

2019年に発足した新体制の下、akebonoは、5ゲン主義(現地 現物 現認 原理 原則)の実践を目指しています。何か問題があれば「現地」「現物」「現認」で確認し、問題を解決しなければならない。問題と真摯に向き合い本質的な解決を目指す。

次に何が起こるか予測するために「原理」を追及する。社員一人ひとりが「原則」をしっかり守って行動する。akebonoは、全ての業務において5ゲン主義を実践していきます。

さらなる品質の向上や次世代への積極的な対応など、私たちは常にその先を目指していきます。

SDGsへの取り組み
13.気候変動に具体的な対策を 14.海の豊かさを守ろう 15.陸の豊かさも守ろう

環境負荷低減に向けた積極的な取り組みを実施。

akebonoでは、2016年より摩耗粉測定技術に取り組み始め、摩耗粉をほぼ全て捕集する技術、摩耗粉の量、粒子の大きさの分布測定技術の開発を完了しています。2020年には日本自動車技術会規格(JASO)によって行われた測定技術の標準化活動を先導しました。今後も、この技術を活用した摩擦材開発を進め、環境負荷低減に積極的に取り組んでいきます。

企業としての社会的責任に正面から取り組む。

akebonoは、次世代製品開発として、製造過程でのCO2発生量を従来比で50%削減できるブレーキパッドを開発しました。

製造時間を50%以下に短縮し、さらには、ブレーキを作動させたときに発生するブレーキ摩耗粉の量も低減できるブレーキパッドです。今後は製品化に向けさらなる取り組みを進めていきます。

モノづくり人づくり

会社が一人ひとりを支える。一人ひとりが会社を支える。モノづくりは人づくりです。

人事基本方針

「会社を成功に導く最も重要なファクターは『人財(社員)』である」という考えのもと、「社員一人ひとりに機会を提供し、会社の成功を共に分かち合える社員を支え続けていくこと」を基本方針として、「個の確立」と「相互の尊敬と信頼」を基盤に、グローバルでの長期人事政策の構築を目指しています。

一人ひとりの能力を最大限に発揮できる組織

ダイバーシティ・マネジメント

akebonoのダイバーシティ・マネジメントは、『多様化推進』、『キャリア支援』、『ワークライフバランス推進』を3つの基本テーマとして、社員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる組織づくりを行い、新たな価値創造と企業価値の向上に結びつけることを目標にしています。

SDGsへの取り組み

3.すべての人に健康と福祉を 4.質の高い教育をみんなに 5.ジェンダー平等を実現しよう 8.働きがいも経済成長も

女性活躍推進「えるぼし認定」を取得

akebonoは女性を含むすべての社員がいきいきと働ける企業を目指し取り組みを続けており、2016年には、「えるぼし認定(3段階目)」を受けました。えるぼし認定制度は、女性活躍推進法に基づいて行動計画の策定と策定内容の届出を行った事業主のうち、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況などが優良な事業主が、都道府県労働局への申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができる制度です。

  • 女性活躍推進法に基づく「基準適合一般事業主」認定の公式愛称

次世代育成支援認定マーク「くるみん」3回目取得

akebonoは、2016年に埼玉労働局から「次世代育成支援対策推進法」に基づく「子育てサポート企業」として認定を受け、次世代育成支援認定マーク「くるみん」マークを取得しました。2007年11月、2013年6月にも認定を受けており、2016年で3回目の「くるみん」マーク取得となります。

健康経営

akebonoは、「働き方改革」「心身両面の健康促進」「健康意識向上」を3本柱に健康経営推進に取り組んでいます。全社一体となった健康づくり活動により、2023年には、「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定を受けました。これは、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度で、今回は6年連続6回目の認定となります。

事業所内保育所「あけぼの保育園」(Ai-Kids)

2018年に開園した「あけぼの保育園」は、「働き方改革」の一環及び社員の福利厚生の充実、また地域社会への貢献を目的として設立されました。

研修センター「Ai-Village」

研修センター「Ai-Village」は、Ai-City(本社)に2012年に建設されました。グローバル人財の創出を目的として、様々な研修が行われています。現在は、集合研修とオンライン研修の両輪で、研修のさらなる充実を実現しています。

障がい者の雇用(あけぼの123)

akebonoの特例子会社、あけぼの123(株)では、「社員に人として自立してもらう」という理念のもと、障がい者が仕事を通じて成長できる職場づくりに取り組んでいます。障がい者の雇用やその能力を活かした職場づくりを積極的に取り組んでいることが評価され、2007年4月以来「埼玉県障害者雇用優良事業所」として6期連続認証されています。

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