AKEBONO REPORT 2011
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曙ブレーキ工業株式会社2010年度地域別研究開発【欧州】 欧州においては、摩擦材開発に特化しており、要求性能が特有で、REACH (Registration, Evaluation Authorisationand Restriction of Chemicals: 化学物質の登録、評価、認可、および制限に関する規則)の導入など、環境規制の厳しい欧州市場に適合する摩擦材から日米市場向け輸出欧州車に適合する摩擦材まで幅広いお客様ニーズに対応できる開発を行っています。また静粛性を重視した日米市場向けと高性能を重視した欧州市場向けの両方を取り入れた「ハイブリッド材」をキーワードに、新たなお客様開拓を推進した結果、欧州メーカーへの採用も始まっています。開発拠点のあるフランス以外では、ドイツに開発の出先機関(現地法人)を置き、よりお客様に密接した開発を進めています。現地調達原材料による材料の共通化および欧州製法の導入により、コスト競争力を強化しています。【中国】 低コストブレーキの開発をアジア(中国)を中心に展開するため、現地現物現認の市場調査を通じて、現地ニーズの把握を行っています。日本の既成概念から脱却した開発を行うために中国に開発センターを設立しました。摩擦材においては、現地ニーズに合致した低コストパッドの開発をスタートさせました。ブレーキの機構開発については軽量、音・振動特性、特にコストにおいて競争力のあるブレーキの開発に取り組んでいます。 akebonoではコア技術である「摩擦と振動、その制御と解析」を活かして、自動車のみならずあらゆる交通機関の各種ブレーキ製品を担う新摩擦材・次世代ブレーキの開発を進めています。また、製品開発を支える基礎技術、解析の深化を重点的に行うため、研究開発への投資と開発体制の充実を図っています。 また、ノイズや振動に対する知見をさらに深め、共通化/標準化、低コストブレーキの強化、軽量化・電動化・HEV/EV車対応の環境技術、高性能車用製品、新興国対応技術などの確立をめざしています。各地域での研究開発活動は以下のとおりです。【日本】 摩擦材においては、高性能化と低コスト化という市場・お客様ニーズの2極化に対応した開発の取り組みを進めています。乗用車用高性能パッドと低コストパッドを中心に、高性能で音・振動特性に優れ、ホイールダストも低減させる、環境に配慮した安全な原材料を使用した高品質な製品の開発に取り組んでいます。また、性能や環境への配慮を行うと同時に低コスト化についても新材料と工法の両面から開発を進めています。 ブレーキの機構開発においても、高性能化と低コスト化の両面から開発に注力しています。お客様からは、高性能車用に開発されたアルミ合金の対向型ブレーキに対して、高い評価をいただきました。共通化・標準化を徹底的に実行し、コスト競争力も向上させる活動を進めています。 環境に配慮した製品開発として、クルマの燃費向上に貢献すべく革新的な軽量化、引きずり低減に取り組んでいます。グローバルでの供給を強化させるため、テクニカル・ベンチマークとコスト・ベンチマークを徹底して行い、目的に応じた製品づくりへ技術開発を進めています。【北米】 北米自動車メーカーはもとより、グローバルなニーズに基づき、北米市場に最適な新摩擦材や次世代ブレーキの開発に取り組んでいます。日系自動車メーカーについても、開発から量産までの現地完結開発を展開しています。 摩擦材においては、乗用車からピックアップトラック用まで高性能で音振特性に優れ、環境に配慮した材料開発を行っています。ブレーキの機構開発については、乗用車からSUV、ピックアップトラックまで幅広く開発し、軽量アルミ合金によるディスクブレーキの量産化も積極的に展開しています。また、ロータ/ドラムについても量産車種展開しており、ブレーキモジュールによる軽量で音・振動特性に優れた製品開発を行っています。

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