AKEBONO REPORT 2013
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特集:東日本大震災後の取り組み震災・タイ洪水から見えた課題2011年の東日本大震災やタイ洪水は、工数の重点投入による緊急対応によって、お客様に深刻な迷惑をおかけすることなく何とか乗り切ったものの、部品や材料の調達リスクマネジメントが不十分であることが判明しました。特に、東日本大震災では部品用の材料まで遡ると特定の取引先に集中していること、タイ洪水では影響が1カ国にとどまらずグローバルな問題になること、などが課題として炙り出されました。これらの課題に対処するため、まずはグローバルレベルでのサプライチェーン情報の収集、部品や材料の互換性確認、情報を一元管理するためのシステムづくりなどに着手しました。最終的には世界のどこでいつ問題が発生しても、グローバルakebono全体で短期間で解決できる仕組みをめざしています。これらの情報は、リスクマネジメントのみならず、グローバル経営の推進にあたって、最適なコストで部品・材料を選定し調達する活動にも役立てていきます。具体的には、互換性を難しくする要因でもある特殊な材料や仕様を、お取引先様との対話を深めながら、開発等各部門との連携により、「つくりやすいもの」「仕様の共通化・標準化」を展開し、互換性向上を進めていきます。グローバルプラットフォームビジネスでの部品・材料の共通化推進、部品や材料の現地調達化推進なども、コスト競争力向上、リスク低減という視点からさらに加速させていきます。BCP課題の洗い出し akebonoは、東日本大震災で顕在化した下記の課題に継続して取り組んできましたが、このたび改めて災害に強い企業への強化行動計画に着手しました。大規模地震、洪水などの自然災害や強毒性インフルエンザ等による事業中断に備え、また、お客様のサプライチェーンリスクへの関心が年々高まっている中、事業継続計画(BCP)への対応は、非常に重要な経営課題となっています。 内閣府や一般社団法人自動車部品工業会(JAPIA)のガイドラインを参考に、国内外の拠点やサプライヤーのBCP策定へ向け、ステップを踏んで取り組んでまいります。経営課題内容危機管理体制の見直し◆初動対応・早期復旧への地震シミュレーションの実施◆危機管理体制・対応マニュアルの見直し・対象リスクの種類と規模の拡大(地震のみから、気象、交通、事故など、安全と納入へ影響するものを対象とする)・対策本部の設置基準、運営方法、体制・情報の見える化・共有化・運営機器の整備階層別責任と役割の明確化◆対策本部の規模と対応の見直し◆ 緊急時に必要なアウトプット(安否、出荷状況、復旧予測、等)と担当の明確化従業員・勤務状況の見える化◆従業員の見える化(出欠勤、出張):各個人の安否確認把握◆常に最新情報をアップデートする仕組みと共有方法情報迅速化◆ お客様情報だけでなく社内外情報を収集し、中長期での受注動向を方向付けする◆外部ソース(経済産業省/JAPIAほか)の情報収集◆ 情報統制と共有化 ※拠点とは機能別に責任者を決め情報のやりとり福島製造㈱:安心して働ける環境づくりへ2011年3月11日の東日本大震災では、工場建屋が損傷し、当面の生産停止を余儀なくされましたが、1週間後には生産を再開しました。被害を受けた建屋や設備には被害再発防止策を実施し、さらに安否確認が早急にできるよう、社員の緊急時連絡網には自宅のマップを作成し、最新の情報を確認できるようにしています。車のガソリンは半分に減ってきたら満タンにしたり、家族で連絡方法を再確認したりするなど、各自が危機管理に備える防災意識が定着しています。2012年10月15日に実施した防災訓練では、暗闇での非常時にも備えられるよう、午後7時10分より夜間の訓練を実施しました。震災から2年がたってakebonoは震災など自然災害の教訓を活かして、さらなるモノづくり体制の強化に努めながら、地域との絆を深めます。震災の被害を受けた福島製造㈱(被害再発防止策)被災状況対策詳細製造工場の壁の崩落壁・筋交い再設置筋交いも湾曲したため、強度アップして筋交いを設置設備の移動・ずれ、転倒全設備アンカーボルト補強工場内の全設備をアンカー、ボルトで固定(転倒防止)型の落下型落下防止ストッパー設置金型落下防止のため、コロコンラックにストッパーを設置し、落下防止型ラック・ストッパーの改善を実施浄化槽タンク破損浄化槽タンク強化埋設浄化槽の地下槽周囲に隔壁を設け、4方面を鉄筋コンクリート補強し、周囲の圧力に耐えられる浄化槽タンク構造とした食料・飲料水の備蓄なし食料・飲料水の備蓄3日分備蓄経営課題内容調達政策◆ グローバルレベルでのサプライチェーン情報の収集、部品や材料の互換性確認、情報を一元管理するためのシステムづくり◆ 互換性を難しくする要因でもある特殊な材料や仕様の「造りやすいもの」「仕様の共通化・標準化」◆ GPF(グローバルプラットフォーム)ビジネスでの部品や材料の共通化推進、部品や材料の現地調達化推進生産体制再構築◆ グローバル生産体制の再構築(拠点/製品の一極集中回避)◆C&S+tの推進(設備の汎用性の拡大による、相互生産)ファシリティ見直し・強化◆耐震補強強化の継続◆Ai-Villageへ対策本部のバックアップ機能、避難所・宿泊所◆生産拠点・非常用電源の完備◆衛星電話の更新

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