AKEBONO REPORT 2013
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“生産工程全体を見渡しながら、最良の生産プロセスを常に考えていきたい”このプロジェクトは若手技術者の育成を主な目的として始まったものですが、子どもから大人まで「見て」「楽しんで」、ブレーキに興味を持ってもらい、ブレーキの重要さを理解していただきたいという意図があります。ミニチュアラインの製作を通じて、自分の専門または担当でない分野についても知識が深まり、生産工程全体を見渡す視点を持てるようになったと感じています。それによって、将来、生産設備を設計するにあたって見えてきた課題もあります。たとえば、今回のドラムブレーキのミニチュアラインは、初めての試みとして「からくり」のメカニズムを導入してみましたが、実際の生産現場に適用するにはカムへの負荷増大が課題であることがわかりました。また、手や工具の入りやすさなど保全性に対する課題も毎年浮かび上がっています。これからも分野横断型の思考で「最良の方法とは何か」を常に問いながら、自己研鑽をし、少ない動力と労力で済む生産設備の開発に取り組みたいと思います。ミニチュア設計者インタビューTOPICS会社情報経済性報告環境報告社会性報告特集環境マネジメント新製品・技術開発トピックスakebonoは、現場から常に課題を抽出しながら、それを新製品・技術の開発や生産工程の見直しに活かしています。北きたじま島 洋ひ ろし志2006年入社 ミニチュアNo.3ドラムブレーキを担当生産技術部門 機構生技部 機構生技2課高たかわ和真まな名2010年入社 ミニチュアNo.2ブレーキバッドを担当生産技術部門 摩擦材生技部 環境開発課秋あきやま山 貴た かし志2009年入社 ミニチュアNo.1ディスクブレーキを担当生産技術部門 摩擦材生技部 環境開発課若手技術者育成としての「ミニチュアラインづくり」akebonoでは、若手技術者育成として、“1個の動力で動くブレーキ部品製造工程のミニチュアラインをつくる”という課題のもと「ミニチュアラインづくり」を毎年実施しています。生産技術部門の若手チームで、通常業務のほかにこの「ミニチュアラインづくり」を兼務し、企画、設計からミニチュアラインの作製までを一貫して行います。2010 年の第1 弾は、ディスクブレーキ製造工程のミニチュアラインを入社1 ~ 5年目の若手社員6名が担当。生産技術部門とはいえ細かい担当は各自違い、ディスクブレーキ生産工程全体を把握している人はいなかったため、鋳物をつくる館林鋳造所やディスクブレーキを組み立てる岩槻製造㈱をメンバー全員で見学。全部が一からの勉強となり、全員で“1個の動力で全工程動くブレーキのミニチュアライン”に取り組みました。完成したミニチュアラインは、スイッチを押すとミニチュアラインが動き出し、製造方法をより詳細に学べるようにとモニター画像・音声による説明も装着しました。2011年の第2弾は、パッド製造工程のミニチュアラインを2 ~5年目の6名が担当。akebonoの主力製品であるパッドの原材料の配合・攪拌・成形・加熱・研磨・表面焼き・塗装工程の一連の工程をわかりやすく再現し、プレッシャープレートの処理工程も再現されています。前回のミニチュアラインよりも生産ラインを小さく短く工夫し、でき上がったラインの大きさは3分の1、さらに上部に取り付けたソーラーパネルで動くように改善、省エネにも取り組みました。2012年の第3弾は、ドラム製造工程のミニチュアラインを入社2 ~ 7年目の若手社員7名と、からくりプロジェクトの協業にて実施。プレス・プレートアッシー・塗装・組付けの一連の工程をわかりやすく再現しました。前作のパッドミニチュアラインよりもさらにひと回り小さくなり、裏側ではドラムブレーキの動きを再現したり、時期に応じて「入社おめでとう」や「akebono参観日」などコメントを替えられる表示があったりと、遊び心も感じられるミニチュアラインにしました。これらを通じて、部品の汎用性や作りやすさ、保守のしやすさの重要性など、さまざまな気づきが得られ、これらはすべて実際の生産ラインに活かせられます。また、考える力を向上させ、生産工程全体を見通す力を育みます。この経験を業務に応用し、さらなる生産現場の技術向上に挑みます。作製されたミニチュアラインは、本社玄関やブレーキ博物館であるAi-Museumに展示されており、訪問者や見学者の方々にブレーキを身近に感じていただくきっかけのひとつとなっています。

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