AKEBONO REPORT 2013
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現場のオペレーターも参加したプロジェクト図面を見ながらエネルギー効率について再確認将来を担う次世代摩擦材製造設備ブレーキパッドなどの摩擦材製造工程では、プレスや加熱など生産工程の各部で熱を使って成型しています。そのエネルギー使用量を抑えるため、画期的な工法の改善によって省エネ効率を50%向上させた次世代摩擦材製造設備の第1号が2012年7月、山形製造㈱で稼動し始めました。従来の摩擦材製造設備は、生産の最小単位が4、8、16個など大量生産を前提にしていたため、生産量が変動しても使用するエネルギー量が変わらず、生産量の減少がエネルギー削減につながりませんでしたが、この次世代設備は最小単位を1個とすることで、パッド生産に関わる無駄なエネルギー消費の削減ができるようになりました。同時に、型・治具(じぐ)などの軽量化と治具数の削減を実現したことにより、省エネルギーでかつフレキシブルな多品種少量生産が可能となりました。次世代設備開発は、akebonoの将来を担う重要なテーマとして、現場オペレーターの要望も取り入れながら製造、生産技術、開発、品証とクロスファンクションで進められ、粉じんや臭気などの作業環境面での対策も盛り込まれています。今後さらにこの次世代設備を普及させながら、設備のエネルギー効率を大幅に引き上げ、かつ生産性を向上させて、製造原価に占めるエネルギーコストの上昇を抑制し、モノづくり体質を強化していきます。設計者インタビューTOPICS環境マネジメント生産段階での取り組みakebonoは生産設備と生産プロセスの両方の側面から改善点を洗い出し、大幅な省エネを実現します。■からくりプロジェクトからくりプロジェクトとは、akebonoの生産設備に「無動力(動力のない、少ない)」と「ながら動作(1駆動で多動)」を盛り込んで、省エネルギーや設備故障削減、設備投資削減につなげるプロジェクトのことです。からくりとは日本古来の伝統芸能で、茶運び人形のように人形や道具をぜんまい、ばね、歯車、水などを応用して自動的に操り動かす「しかけ」のことです。頭で考える「想像力」と創り出す「創造力」両方が生産技術にとって必要で、配合の設備を造るなら原材料を、塗装の設備なら塗料の性質や特性を把握した上で設備を考える必要があります。さらにそこに「からくり」、つまり1駆動で他動作を入れ込むことは、将来を見据えた革命的な生産設備になります。現実を見ると、からくりの難しいところは、からくりの段変えが難しく、多種類の似ている部品を見分けるところに問題があります。部品の標準化・共通化が鍵となり、共通化が進むと「からくり」もやりやすくなります。また、工程作業の動作でも、標準化・共通化・効率化が必要で、現場で「からくり」を推し進める同志、人財も不可欠です。今後、からくり技術を入れ込んだ省エネ設備を初めは国内に、次にグローバル展開していきます。“工程を極限までミニマム化して、大幅な省エネを実現したい”藤ふじた田 東とうじ司生産技術部門 機構生技部 からくりプロジェクト2012年3月にからくりプロジェクトが発足して以来、少しずつ試作を進めていますが、からくり機構を実際の現場に適用するには、まだまだ克服すべき弱点があります。まずは、1つの異常で動作が止まると他の部位も途中停止してしまい、復旧に時間がかかってしまう点をどうするかです。仮に1つのアクチュエーターで全工程が完結できるようになると、大幅な省エネが可能になります。また、たくさんの機械をセンサーで制御する必要もなくなり、工程を省略化・簡素化できると考えています。これは会社の方針である「共通化・標準化」(C&S化)にも通じますが、それを本当に実現するには「どこまで省けるか」を見極める作業の“仕分け”が必要になります。同時に、製品の設計開発の段階から「作りやすさ」を意識するなど、マインドを変えていく必要もあります。そうした観点から試作と研究を重ねていき、まずは国内の生産現場で実績を積んでから海外の各拠点で展開していきたいと考えています。

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