AKEBONO REPORT 2013
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代表取締役社長て、ブレーキの分野で最高水準の技術力を持つ会社としてアピールし続けています。その成果として英国マクラーレン社の超高性能市販車「P1?」への供給も決定しました。これを機に、高性能量販車向けビジネスの立ち上げに注力していきます。 一方で、自動車メーカーのグローバルプラットフォーム化に対応するという重要な課題があります。これには機能だけでなくコストも含め、世界のどこでも対応でき、かつ市場で求められている品質で効率よく納品できる生産ネットワークを構築していくことが不可欠となります。そのためakebonoは、モノづくりを根本から見直さなければなりません。 この2つの基軸プログラムが重要なのはakebonoグループの生き残りにつながる課題がすべて入っているからです。大前提である安全と品質、その保証体制、新興国市場における価格競争力強化、差別化された商品開発、複雑伸長化するリードタイム(納期)、それらを実現していく経営体制、しかもこれらは大きく変化するグローバルレベルでリスクも考慮し、構築していかなければなりません。将来に向けた技術の差別化に直結する「C&S+t」を徹底する 日本の“モノづくり力”を世界のあらゆる地域で展開していくには、ベースとなる「製品」と「造り方」を世界共通にすることが必要です。その鍵を握るのが、「共通化・標準化+特性(C&S+t)」という考え方です。事業のあらゆる面を「共通化・標準化(C&S)」していくことで効率を高め、個別のニーズには「特性(t)」を組み合わせ、競争力を高めていきます。コストや生産方法、あるいは製品の使用環境などを見極めた上で、お客様ニーズの多様化に最も合理的に応える考え方であり、その追究に終わりはありません。この考え方は「将来に向けた技術の差別化」の実現に直結します。「共通化・標準化+特性」を絶えず追究することが、お客様の満足を最大化する最善かつ唯一の方法であるとの確信のもと、私たちはOne akebonoのモノづくりの考え方を世界各地で実践するよう取り組んでいます。ダイバーシティとコミュニケーションでOne akebonoの組織力を高める 「C&S+t」と同時に真のグローバリゼーションの実現の鍵を握るのが、「人財育成」です。 akebonoグループは、すでに連結売上高も社員数も約6割が海外となっています。真のグローバリゼーションを実現するには、そこからさらに多様な考え方を受け入れて自分の成長の糧にするダイバーシティが求められます。ダイバーシティとは、すなわち「違い」を理解することです。国々地域によって製品に求められる機能、性能は千差万別です。地域によるニーズの「違い」を認識し、それに対応するモノづくりを実現するために、まずは人財を強化する必要があります。そうした意図で立ち上げたのが、2012年12月に完成した研修センター「Ai-Village(アイヴィラージュ)」です。世界中のグループ社員が交流する場として、研修施設としての機能はもとより、ラウンジや宿泊施設、互いの食文化を体験するための厨房機能なども備え、日本にいながら異文化を体験できる拠点としました。国籍・言語・教育・習慣など、異なる背景を持った社員がお互いを理解しコミュニケーションを図ることで、Oneakebonoとしての組織力がさらに高まることを期待しています。「さりげない安心」を提供する会社としての価値を再認識する ブレーキは、自動車の単なる一部品ではなく、クルマを「安全かつスムーズに走らせる」ためになくてはならないものです。akebonoグループの全員が、ブレーキという製品を通して人々の「安全と安心に貢献している」ということに誇りを持って、自分の価値を知り、自ら積極的に考えて行動できる人財になってほしいと願っています。akebonoが2005年より取り組んでいるコーポレート・ブランド(CB)経営にはそうした意図があります。社員がakebonoにとって最大のブランド発信者であるという認識を持って日々の業務に取り組むことが、ひとりではできないことをみんなで実現するという会社の組織力を強くし、広くステークホルダーに企業としての価値を認識していただくことにつながっていくと信じています。  ステークホルダーの皆様には、『AKEBONO REPORT 2013』を通じて、akebonoがめざすグローバルなモノづくりのあり方を多面的にご理解いただき、引き続き変わらないご支援をお願いいたしますとともに、本レポートへの忌憚のないご意見、ご感想をお寄せいただきますようお願い申し上げます。2013年6月信元 久隆

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