AKEBONO REPORT 2013
61/76

現地完結開発を展開しています。摩擦材においては、乗用車からピックアップトラック用まで高性能で音振特性に優れ、前述の新たな環境規制に対応するさらに環境に配慮した材料開発を行っています。 ブレーキの機構開発については、乗用車からSUV、ピックアップトラック用まで幅広く開発活動を行うほか、軽量アルミ合金によるディスクブレーキの開発も展開しています。また、ディスクロータ、ドラムについても量産展開しており、ブレーキモジュール開発による軽量で音・振動特性に優れた高性能、高品質な製品開発を行っています。【欧州】 欧州における摩擦材開発に関しては、高速でのユーセージに対応する高性能(効き、ジャダー)、および音・振動特性、REACH(Registration, Evaluation Authorization and Restriction ofChemicals:化学物質の登録、評価、認可、および制限に関する規則) の導入など環境規制の厳しい欧州市場に適合する摩擦材から、日米市場向け輸出欧州車に適合する摩擦材まで、幅広いお客様ニーズ・市場ニーズに対応できる開発を行っています。日系のお客様のみならず、欧州市場でのお客様に対する摩擦材の開発、生産の供給体制を整えています。現地調達原材料による材料の共通化および欧州製法の導入により、コスト競争力の強化を目的とした開発をしています。 開発拠点のあるフランス以外では、ドイツに開発の出先機関(現地法人)を置き、よりお客様に密接したディスクブレーキ適用開発を進めており、イギリスにある開発の出先機関では、モータースポーツ用ディスクブレーキ開発及び高性能車両向けディスクブレーキ開発に特化し、お客様の声を反映させた開発を進めています。【中国】 新興国市場のニーズに合わせた製品を提供するため、現地のお客様の声を反映させた製品の開発・設計を進めています。摩擦材においては、部品・原材料の現地調達化と現地の環境に適したつくり方により、新興国市場で通用するコストと性能特性を有する製品開発を行っています。ディスクブレーキにおいては、中国市場のお客様の要求や使われ方を調査・分析し、必要な機能・性能を低コストで提供できる製品の開発と提案を行っています。 当社グループでは、コア技術である「摩擦と振動、その制御と解析」技術を活かし、自動車のみならず、あらゆる交通機関の各種ブレーキ製品を担う新摩擦材・次世代型のブレーキの開発を進めています。また、製品開発を支える基礎技術、解析の深化を重点的に行うための研究開発への投資と開発体制の充実を図っています。 開発戦略としては、“環境・低コスト・高性能”の3軸を基本とし、音・振動に対する知見をさらに深化させ、共通化/標準化の思想に基づいた軽量化・電動化などの環境対応技術開発、低コストブレーキ開発、高性能ブレーキ技術開発を推進していきます。これらの開発では、日米欧に中国を加え、グローバル拠点で特長を活かしながら、必要な技術を駆使し、グローバル競争力を高めた次期製品開発に注力しています。 各地域での研究開発活動は以下の通りです。【日本】 ブレーキ摩擦材開発については、高性能化と低コスト化という市場・お客様ニーズの二極化に対応した開発取り組みを進めています。乗用車用高性能パッドと低コストパッドを中心に、高性能で音・振動特性に優れ、かつ、昨今着目されてきているホイールダストについても低減させ、環境に配慮した安全な摩擦材原材料を使用した高品質な製品の開発を進めると同時に、低コスト化についても、性能や環境への配慮を確保しながら開発を進めています。また、米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された摩擦材の新たな環境規制に対応するため、新摩擦材の開発に取り組んでいます。 ディスクブレーキ・ドラムブレーキの開発においても、高性能化と低コスト化の両面から開発に注力しています。高性能車対応として開発された、アルミ合金製対向型ブレーキは高い評価を頂きました。部品の共通化・標準化を徹底的に実行し、コスト競争力の向上と、抽出されたリソースの新規開発への配分を増加させることにより、差別化製品を提供していきます。 環境に配慮した製品開発に対しても、車の燃費向上の観点から革新的な軽量化と引き摺り低減に取り組んでいます。電動化技術ではブレーキに小型電気モーターを搭載し、電気信号で制動ができる電動ブレーキ、パーキング機能のみを電動化した電動パーキングといった製品の技術開発を行っています。また、グローバルでの供給をさらに強化させるため、テクニカル面とコスト面のベンチマークを徹底して行い、使用地域の独自性や使用状況に応じた製品づくりへの技術開発を進めています。 中央技術研究所においては、〔1〕素材開発(摩擦特性制御、低環境負荷、危機管理)、〔2〕次世代摩擦材の開発(小型、軽量化、高性能化)、〔3〕摩擦現象の研究(摩擦挙動メカニズム)、〔4〕プロセス開発(生産性、低環境負荷)を中心として研究開発に取り組んでいます。具体的には、NVH(鳴き・振動対策)、摩耗制御に寄与する独自潤滑材料、石油資源に依存しないバイオマスポリマー、鋳鉄のレアアース削減、新分野開拓をめざした機能性粒子、軽量化に向け安定した高摩擦係数を狙いとしたセラミックス摩擦材、摩擦材材料の摩擦挙動現象との関係、廃棄物の削減に向けた表面処理技術などの研究テーマを遂行し、他社との差別化、優位性確保を図っています。【北米】 北米自動車メーカーはもとより、グローバルなニーズおよびワシントン州を含む複数の州で条例化された摩擦材の新たな環境規制に対応する新摩擦材や次世代ブレーキの製品開発に取り組んでいます。日系自動車メーカーについても、開発から量産までの2012年度地域別研究開発(億円) (%)(年度)92040801200481299 10082894.44.86.2 6.34.12008 2009 2010 2011 2012研究開発関連の総額*(億4080120研究研究開発費総額(左軸) 対売上高比率(右軸)* 上記には、研究開発費と日常的な改良に伴って発生した研究開発関連の費用が含まれています

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です