AKEBONO REPORT 2014
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た。また4輪では、鳴き抑制、耐摩耗性での効果を発揮し、超高性能ロードカーであるマクラーレン「P1TM」の摩擦材に量産材として採用されています。このように、この材料を配合した摩擦材は性能が向上し、お客様や市場の要求に対応するとともに、パッドの長寿命化が図れ、省資源にも貢献しています。 akebonoは、摩擦材向け独自材料の開発を進めることにより、他社との差別化、優位性確保を図っています。窒化処理ローター搭載車が北米トラックオブザイヤーを受賞 akebonoはGM社と、2014北米トラックオブザイヤーを受賞したシボレー・シルバラードのキャリパー、ローターおよびブレーキパッドを含むブレーキ製品を共同開発しました。このローターにはakebonoの軟窒化処理(FNC処理)が施されており、高いブレーキ性能と、業界最高基準のローターの長寿命化と低ノイズ・低振動の実現に貢献しました。ローターの軟窒化処理により耐摩耗性が強化され、耐疲労性、耐熱性などの防錆以外のブレーキ性能も向上します。摩耗粉低減によるホイールの見栄え維持などローターの商品力の向上と、部品の長寿命化による省資源に貢献します。また摩耗粉低減は環境負荷低減にも貢献します。環境負荷物質を使用しない製品づくりを推進 ブレーキ摩擦材は使用することによりダストが発生します。北米ではブレーキダストによる河川や湾の生態系に影響を及ぼすことが懸念され環境負荷物質規制が強化されました。 akebonoは、発生するブレーキダストを大きな技術課題と捉え、摩耗によるダストを少なくする技術開発やパッドの長寿命化にチャレンジしています。 また、akebonoでは環境負荷物質の少ない製品づくりを推進し、使用する原材料は法規よりさらに厳しいakebono独自の自主ガイドラインを定め、開発・設計段階から、作業・環境安全性について厳しくチェックしています。環境負荷物質に該当する原材料は使用を避けるほか、人や環境への影響が大きいと判断した場合は代替材料に換えるなどの対応を行い、より環境負荷物質の削減に取り組んでいます。akebono独自材料の開発 中央技術研究所では、摩擦材向け材料、低環境負荷材料、摩擦現象の研究などを中心として研究開発に取り組んでいます。摩擦材向けakebono独自材料として、摩擦材の高温域での性能を向上させる新規材料の開発を行いました。この新規材料の熱分解開始温度は約800度と固体潤滑材中最高温度を示し、さらに材料摩擦特性として耐焼付性が約30%向上し、効き(μ)安定性もアップしました。この材料を配合した摩擦材は、二輪耐久レースへ適用され、耐摩耗性での効果を発揮しまし開発・設計段階での取り組みakebonoは、環境負荷物質を使用しない製品づくりや製品の長寿命化を進めるなど、環境負荷の軽減に貢献するとともに、環境にも人にも優しいブレーキ開発に取り組んでいます。TOPICS米国化学物質規制対応「ブレーキ摩擦材」 米国ワシントン州とカリフォルニア州は、ブレーキ摩擦材から排出される化学物質が河川や湾の生態系に影響を及ぼすことを防ぐために、自動車ブレーキ摩擦材に含有する化学物質規制に関する州法を発効しました。カリフォルニア州では2014年1月1日より製造されるパッドやライニングなどのブレーキ摩擦材に含有される銅を含む対象物質が許容量を超えないこと、また銅の含有量により、A≧5wt%、B<5wt%、N<0.5wt%と区分された「環境適合マーク」をパッドやライニングに表示することが義務付けられました。akebonoでは、米国はもとより、日本、アジアの各生産拠点、開発、品証、営業、生産技術など、米国に流通する摩擦材の生産に関わる多くの部署がグローバルで協力し、One Team、Oneakebonoとなって法規対応を実施しました。今後も梱包の「認証マーク」やワシントン州法への対応なども継続して確実に法規対応していきます。〈社員の声〉自動車営業部門 営業企画部 松本 裕子 米国化学物質規制対応活動を通して多くの部署が関わる難しさや初動の遅さなどの反省点と多くの課題・改善点が見えてきました。これらを次の業務に活かしていきます。確実な環境負荷物質データの確認akebono独自材料の創製長寿命化に貢献する軟窒化処理ローター「環境適合マーク」表示パッド

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