AKEBONO REPORT 2014
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TOPICS宇宙エレベーターのブレーキコンマ数パーセントの軽量化追求と持続した挑戦 akebonoは、2007年よりF1のマクラーレン メルセデスチームにブレーキシステムを供給しています。マクラーレンの妥協のない厳しい要求に応えるためコンマ数パーセントを追求する徹底した軽量化と高剛性、優れた冷却性能に加え、常に高い信頼性と安定した性能を、非常に高度な次元で実現し、構造、材料、表面処理などをakebono独自の技術で開発してきました。 F1やWEC(FIA世界耐久選手権)などのレースを通じたブレーキ技術開発で得たノウハウは、量産製品の研究・開発に反映し、グラム単位の軽量化を追求する技術は、燃費の向上による自動車の省エネを促進することにつながり、また、耐久レース用ブレーキ開発から得られる高負荷、耐摩耗性向上技術は、製品の長寿命化や省資源に寄与します。 マクラーレンの超高性能ロードカー「P1TM」に採用された、軽量・高剛性を追求したキャリパー、高性能パッドと大幅に重量を低減したカーボンセラミックブレーキディスクは上記技術を取り入れた製品のひとつです。 akebonoは高性能車両用の米国化学物質規制対応型の銅フリーパッド開発にも取り組んでおり、今後は性能と環境性能を両立させたパッドを量産車両に展開することで、高性能車両の分野でも環境性能を重視した製品を提供できるように進めていきます。グローバルでの競争力を強化する「新生Ai-Ring」 Ai-Ringは、自動車部品メーカーのテストコースとしては国内最大規模であり、高速制動試験など様々な実車ブレーキ評価試験を行うことができます。2016年3月に完成予定の「新生Ai-Ring」は、新製品開発に必要なワインディング路や悪路総合評価路などの各種テストコースを拡充することにより、実際の使用環境下により近い条件でのブレーキ開発評価が可能になります。安全性は設計段階から最優先とし、Ai-Ring内にダイナモ実験設備(ブレーキ試験機)を増設することにより、台上評価~ダイナモ評価~実車評価までを同施設内で実施が可能になります。評価能力の向上、NVH解析技術向上、開発リードタイム半減と共にグローバルな開発体制を確立し、開発のさらなる競争力の向上をめざします。また、グローバルな評価技術の集約やブレーキの専門家として自ら提案できる人財を育成する開発技術者育成の場としても活用していきます。 新生Ai-Ringによって中期経営計画(akebono NewFrontier 30)で重要開発アイテムとしているブレーキの開発にも注力し、さらにその先の将来を見据え、技術の差別化に向けた開発能力を向上させながら、省エネ・省資源に貢献していきます。新たな技術への挑戦akebonoは、CO2 削減・省エネルギー・省資源につながる新たな技術に挑戦しています。 「宇宙エレベーター」は地上と宇宙をつなぐエレベーターで、人類の宇宙進出を飛躍的に促進する可能性を秘めています。軽量でかつ高強度の素材である「カーボン・ナノチューブ」が開発され、将来、実現の可能性が出てきました。人工衛星は重力と遠心力が一致しているため、地球を周回しています。人工衛星と同じ高度に宇宙ステーションを建設して、地上と宇宙をエレベーターで行き来しようとするものです。現在、NASA(アメリカ航空宇宙局)をはじめとして、国内外の多くの大学や研究機関で研究が行われています。日本では2008年に「宇宙エレベーター協会」が設立され、akebonoはエレベーターに使用するブレーキの技術支援をしています。 大型のエレベーターになるため、ブレーキも高い性能が求められます。宇宙エレベーター協会からakebonoに協力要請があり、ブレーキに関しての技術的なアドバイスをしています。 地上のブレーキは、空気に放熱することでブレーキを冷やしています。空気のない宇宙でどのように熱を逃がすのかなど、宇宙用ブレーキの多くの課題に挑戦しています。宇宙エレベーターの仕組み出典:宇宙エレベーター協会Ai-Ring技術の聖地安全環境整備高効率(スピードUP)人財育成(体感・実感)ムダの排除(輸送・移動)技術の向上GlobalNetworkコンマ数ミリを正確に調整 新生Ai-Ringのコンセプト

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