AKEBONO REPORT 2015 事業・CSR活動報告
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低燃費を実現する次世代ブレーキの開発 akebonoでは、低燃費を実現する自動車の軽量化に対応する次世代ブレーキシステムの研究開発に取り組んでいます。部品点数の削減などにより省資源にも貢献します。● 電動ブレーキ 電動ブレーキは、ディスクブレーキパッドの押しつけ機構を電動化したブレーキシステムです。低燃費を実現する車両の軽量化に貢献し、メンテナンス等で廃液処理されるブレーキフルードが不要となり、環境保全にも貢献します。● 低引きずりキャリパー ブレーキ解除時のパッドとローターのわずかな接触はローターの回転抵抗となり燃費に影響します。また、パッドとピストンの間隔がごくわずかに変化するだけでも、ブレーキペダルの動き出しからブレーキの効き始めまでのタイミングがずれ、ドライバーがブレーキに不安を感じるようになります。低引きずりキャリパーはパッドとローターの隙間をミクロン単位で最適化し、回転抵抗を減少させることで、自動車全体の燃費向上に貢献します。グローバルでの競争力を強化する新生Ai-Ring● 新生Ai-Ringのコンセプト Ai-Ringは、自動車部品メーカーのテストコースとしては国内最大規模であり、高速制動試験などさまざまな実車ブレーキ評価試験を行うことができます。2016年3月に完成予定の新生Ai-Ringは、新製品開発に必要なワインディング路や悪路総合評価路などの各種テストコースを拡充することにより、実際の使用環境下により近い条件でのブレーキ開発評価が可能になります。安全性は設計段階から最優先とし、Ai-Ring内にダイナモ実験設備(ブレーキ試験機)を増設することにより、台上評価~ダイナモ評価~実車評価までを同施設内で実施することが可能になります。評価能力の向上、NVH解析技術向上、開発リードタイム半減とともにグローバルな開発体制を確立し、開発のさらなる競争力の向上をめざします。また、グローバルな評価技術の集約やブレーキの専門家として自ら提案できる人財を育成する開発技術者育成の場としても活用していきます。 新生Ai-Ringによって中期経営計画(akebono NewFrontier 30?2013)で重要開発アイテムとしているブレーキの開発にも注力し、さらにその先の将来を見据え、技術の差別化に向けた開発能力を向上させながら、省エネ・省資源に貢献していきます。宇宙エレベーターのブレーキ 「宇宙エレベーター」は地上と宇宙をつなぐエレベーターで、人類の宇宙進出を飛躍的に促進する可能性を秘めています。軽量でかつ高強度の素材である「カーボン・ナノチューブ」が開発され、将来、実現の可能性が出てきました。人工衛星は重力と遠心力が一致しているため、地球を周回しています。人工衛星と同じ高度に宇宙ステーションを建設して、地上と宇宙をエレベーターで行き来しようとするものです。現在、NASA(アメリカ航空宇宙局)をはじめとして、国内外の多くの大学や研究機関で研究が行われています。 日本では2008年に「宇宙エレベーター協会」が設立され、akebonoはエレベーターに使用するブレーキの技術支援をしています。 大型のエレベーターになるため、ブレーキも高い性能が求められます。宇宙エレベーター協会からakebonoに協力要請があり、ブレーキに関しての技術的なアドバイスをしています。 地上のブレーキは、空気に放熱することでブレーキを冷やしています。空気のない宇宙でどのように熱を逃がすのかなど、宇宙用ブレーキの多くの課題に挑戦しています。中央矢印部分が電動機構部分Ai-Ring技術の聖地安全環境整備高効率(スピードUP)人財育成(体感・実感)ムダの排除(輸送・移動)技術の向上GlobalNetwork新生Ai-Ringのコンセプト出典:宇宙エレベーター協会会社情報経済性報告環境報告社会性報告特集 2 特集 1AKEBONO REPORT 2015 曙ブレーキ工業株式会社 39

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