AKEBONO REPORT 2018
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中長期成長モデル 次世代技術への展開次世代技術への展開–1次世代摩擦材環境負荷物質を使用しない製品づくりを推進ブレーキ摩擦材は使用することにより摩耗粉が発生します。北米ではブレーキの摩耗粉による河川や湾の生態系に影響を及ぼすことが懸念され環境負荷物質規制が強化されています。akebonoは、ブレーキ摩擦材から発生するブレーキの摩耗粉を大きな技術課題と捉え、摩耗粉を減らす技術開発やパッドの長寿命化にチャレンジしています。さらにブレーキの摩耗粉を分析、評価する手法の確立に向けての研究も進めています。また、akebonoでは環境負荷物質の少ない製品づくりを推進し、使用する原材料は法規よりさらに厳しい独自のガイドラインを定め、開発・設計段階から、作業・環境安全性について厳しくチェックしています。環境負荷物質に該当する原材料は使用を避けるほか、人や環境への影響が大きいと判断した場合は代替材料を使用するなどの対応を行い、より環境負荷物質の削減に取り組んでいます。銅フリー摩擦材の開発と展開米国ワシントン州とカリフォルニア州では、ブレーキ摩擦材から排出される化学物質が河川や湾の生態系に影響を及ぼすことを防ぐために、自動車ブレーキ摩擦材に含有される化学物質規制に関する州法が発効されています。カリフォルニア州では、2021年から銅の規制が始まり、2025年以降、銅含有率0.5%以上の摩擦材の新車組み付けが禁止となります。従来の摩擦材には、高温時の効きの安定性のために銅が使用されてきましたが、akebonoでは、銅フリー摩擦材を開発し、補修用としては2007年から、新車装着用としては2014年からお客様に納入しています。複数の素材を組み合わせることで、銅を使用する際と同等の性能をもたせ、コストも同等に抑えています。また、akebonoブランド補修用ブレーキパッドの約8割※は、銅含有量をカリフォルニア州の2025年規制値未満とすることを実現し、さらに今後規制の対象となる可能性のあるアンチモンのフリー化もいち早く達成しています。今後もワシントン州法への対応なども継続して、確実に法規対応していきます。※ 出荷枚数ベースakebono独自材料の開発中央技術研究所では、環境負荷の低減を意識した独自のブレーキ摩擦材向け材料の開発を行い、そこで培った材料技術をベースに摩擦材以外の新しい分野への応用に向けた材料の研究開発に取り組んでいます。他社との差別化を図ることによる優位性の確保を狙っています。例えば、摩擦材向けakebono独自材料として、植物資源である木粉を原料の一部としたフェノール樹脂の開発に成功しました。この新規材料の特徴は、針葉樹の木粉をベースとしナノサイズまで微細化した繊維を独自技術でフェノール樹脂中に均一分散しているところにあり、従来のフェノール樹脂に対してブレーキ実用温度域での高強度化が可能です。結果として、ブレーキ摩擦材の耐摩耗性向上やNV(鳴き、異音)の向上に貢献できます。また、新市場向けakebono独自材料として特異な形状をもつ無機粒子の開発に取り組んでいます。この材料は、これまでのブレーキ摩擦材向け材料開発で培った合成プロセスを駆使し、通常の方法では安定的に得られない特異な形状の粒子です。この特異な形状に起因する物理的・化学的特性を制御することで様々な応用分野への展開に取り組んでいます。木粉木質繊維複合化フェノール樹脂木質ナノ繊維複合化フェノール樹脂銅フリーパッド17 AKEBONO REPORT 2018

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