AKEBONO REPORT 2018
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中長期成長モデル社長・社外取締役対談岡崎 私は技術の専門家として、取締役会ではakebonoの将来の技術開発の方向性に対して積極的な意見を述べるミッションがあると考えています。会社の経営状況が厳しい時だからこそakebonoの独自の技術をどう活かして、そこにどう投資して、どういうビジネスモデルを展開していくべきなのか、そういう視点でいろいろ発言するようにしています。信元 akebonoはいろいろな技術を持っていますが、その技術をいま事業展開している分野に活用しているだけで良いのか、今の技術を深掘りしていけばいくほど、また別の姿が見えてくるのではないかと考えています。技術的な裏付けからいってもその可能性があるのかどうか、社外取締役として、技術の評価や方向性を与えていただくというのはすごく有り難いと思っています。 岡崎 最近つくづく感じるのは、やはり新しい技術開発をやろうとする時には経営基盤がしっかりしていて、それに対する投資の余力がないとやりたいこともできないということです。ですから、将来に向けてどういう技術開発を考えていかなければいけないのかを、取締役会や別の場を設けて議論することが必要だと思っています。それと、やはり夢がなければいけないと思うんですね。夢が夢のままでは何の意味もない。だけど夢が牽引力にならないと技術開発に燃えていくものが出てこない。信元 それは技術系だけではないと思いますね。やはり日々同じ繰り返しの仕事が多いかもしれないけれども、夢を持たずにそういった中で埋もれてしまったら人生の時間を無駄に過ごすことにもなってしまうんじゃないかと思います。岡崎 自動車は誕生してから100数十年経ちますが、これまでに経験したことのないくらいのスピード感を持って変化しています。その一番のポイントは動力の電動化。ハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車、燃料電池車、これらをまとめて「E-モビリティ」という言い方をしていますが、これが普及してくるとブレーキの世界が大きく変わってきます。一つは言うまでもなく回生ブレーキ。その分、摩擦ブレーキの摩耗が少なくなるということで補修部品の需要が小さくなる。それと一つひとつの車輪に電動モーターが付くような時代になった時に、そこにブレーキも組み込めるような小型化が必要になります。これは2040年くらいでしょうからだいぶ先の話と思うかもしれませんが、今からいろいろ考えておかなければいけません。「E-モビリティ」化だけではなくそれ以上に大事なことは、環境への対応。これが世の中、猛烈に厳しくなってきています。akebonoは環境対策に関しては世の中よりも先行して力を入れてきた会社だと理解していますが、さらに意識を払っていかなければいけません。信元 ブレーキ自体が電動化していくというのは、これはもう変わらないと思います。だからこそもう一度、制御関係も含めて電動ブレーキに注力していきます。それからもっと大きい環境問題。akebonoの次年度からの3カ年中期経営計画の中心は環境です。環境問題を中心としてその中からビジネスチャンスを見出していきたい。岡崎 akebonoとしてはやはり技術で、独自技術で世の中を引っ張りたい。だけどこれを開発するためには、やはり資金が必要ですから経営が大事です。早く好循環にもっていかなければなりません。 信元 やはりakebonoをもう一度、技術で牽引していく会社に戻したいと考えています。代表取締役社長信元久隆社外取締役(東京工業大学特命教授)岡崎 健当社社外取締役を務めている岡崎健氏と当社社長の信元が社外取締役の役割や自動車産業の変化について対談を行いましたAKEBONO REPORT 2018 36

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