AKEBONO REPORT 2012
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ら量産までの現地完結開発を展開しています。摩擦材においては、乗用車からピックアップトラック用まで高性能で音振特性に優れ、前述の新たな環境規制に対応するさらに環境に配慮した材料開発を行っています。ブレーキの機構開発については、乗用車からSUV、ピックアップトラック用まで幅広く開発活動を行っており、軽量アルミ合金によるディスクブレーキの開発も展開しています。また、ローターやドラムについても量産展開しており、ブレーキモジュールによる軽量で音・振動特性に優れた製品開発を行っています。【欧州】 欧州における摩擦材開発に関しては、高速走行に対応する性能(効き、ジャダー)を高め、音・振動特性、REACH(Registration, Evaluation Authorisation and Restriction ofChemicals: 化学物質の登録、評価、認可、および制限に関する規則)の導入など、環境規制の厳しい欧州市場に適合する摩擦材から日米市場向け輸出欧州車に適合する摩擦材まで幅広いお客様ニーズに対応できる開発を行っています。日系のお客様のみならず、欧州市場でのお客様に対する摩擦材の開発、生産、供給を行っています。現地調達原材料による材料の共通化および欧州製法の導入により、コスト競争力を強化しています。開発拠点のあるフランス以外では、ドイツおよびイギリスにディスクブレーキ開発の出先機関(現地法人)を置き、よりお客様に密接した開発を進めています。【中国】 新興国市場のニーズに合わせた製品を提供するため、2011年に中国開発センターを設置し、現地のお客様の声を反映させた製品の開発・設計を進めています。摩擦材においては、部品・原材料の現地調達化と現地の環境に適したつくり方により、新興国市場で通用するコストと性能特性を有する製品開発を行っています。機構部品においては、中国市場のお客様の要求や使われ方を調査・分析し、必要な機能・性能を低コストで提供できる製品の開発と提案を行っています。 akebonoでは、コア技術である「摩擦と振動、その制御と解析」を活かし、自動車のみならず、あらゆる交通機関の各種ブレーキ製品を担う新摩擦材・次世代型のブレーキの開発を進めています。また製品開発を支える基礎技術、解析の深化を重点的に行うための研究開発への投資と開発体制の充実を図っています。 開発戦略としては、「環境・低コスト・高性能」の3軸を基本とし、音・振動に対する知見をさらに深化させ、共通化/標準化の思想に基づいた軽量化・電動化などの環境対応技術開発、低コストブレーキ開発、高性能ブレーキ技術開発を推進していきます。これらの開発は日米欧に中国を加え、グローバル拠点で特長を活かしながら必要な技術を駆使し、グローバル競争力を高めた次期製品開発に注力していきます。 各地域での研究開発活動は以下のとおりです。【日本】 ブレーキ摩擦材開発については、高性能化と低コスト化という市場・お客様ニーズの二極化に対応した開発取り組みを進めています。乗用車用高性能パッドと低コストパッドを中心に、高性能で音・振動特性に優れ、かつ昨今着目されてきているホイールダストについても低減させるとともに、環境に配慮した安全な摩擦材原材料を使用した高品質な製品の開発に取り組んでいます。同時に、性能や環境への配慮を確保しながら低コスト化についても新材料と工法の両面から開発を進めています。 ディスクブレーキ・ドラムブレーキの開発においても、高性能化と低コスト化の両面から開発に注力しています。高性能車対応として開発された、アルミ合金を使用した対向型ブレーキは高い評価をいただきました。部品の共通化・標準化を徹底的に実行し、コスト競争力の向上と、抽出されたリソースを新規開発への配分を増加させる事によって、差別化製品を提供していきます。 環境に配慮した製品開発に対しても、車の燃費向上の観点から革新的な軽量化と引きずり低減に取り組んでいます。電動化技術ではブレーキに小型電気モーターを搭載し、電気信号で制動を行える電動ブレーキ、パーキング機能のみを電動化した電動パーキングといった製品の技術開発を行っています。また、グローバルでの供給をさらに強化させるため、テクニカル面とコスト面のベンチマークを徹底して行い、目的に応じた製品づくりへの技術開発を進めています。 将来開発を担う中央技術研究所においては、低環境負荷型独自材料の創製(摩擦材、他分野)、ゼロエミッション、VOC削減に向けた表面処理、接着技術の開発、安定した高摩擦係数を狙ったセラミックス系摩擦材の開発、摩擦材構造の見える化等、独自技術を確立して新世代のブレーキおよび摩擦材を研究しつつ、他社との差別化を図っています。【北米】 北米自動車メーカーはもとより、グローバルなニーズおよびワシントン州を含む複数の州で条例化された摩擦材の新たな環境規制に対応する新摩擦材や次世代ブレーキの開発に取り組んでいます。日系自動車メーカーについても、開発か2011年度地域別研究開発(億円)(年度)92040801201089982892007 2008 2009 2010 2011研究開発関連の総額*(億4080120研究* 上記には、研究開発費と日常的な改良に伴って発生した研究開発関連の費用が含まれています

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