AKEBONO REPORT 2012
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■akebonoのモノづくりを続けるために後藤(生産技術):私は生産設備の開発と、増産などに合わせた国内・海外拠点への設備供給を担当しています。国の助成を受け、2011年からエネルギーコストを2分の1にする次世代生産設備の開発に取り組んでいます。パッド製造時の加熱炉にかかる無駄な熱は「必要悪」ですが、これをどう小さくするかに苦心しています。三田(開発):2011年1月から現在の部署で、ブレーキの未来像を考えることに取り組んでいます。30代を中心としたメンバーで今後ブレーキが人々の役に立つためには、どのような可能性があるのか、日々意見を交わし、試行錯誤しています。早川(調達):2010年まで、開発部門で機構設計に携わり、調達では、調達技術プロジェクトで総原価低減活動に取り組みました。現在は、調達企画部でお取引先様の品質管理と危機管理を担当しています。調達企画部は支援的な部署ですが、東日本大震災やタイの洪水でサプライチェーンの重要性がクローズアップされ、調達の役割の多さに気づきました。小貫(総務):私も震災の経験から、総務の仕事の重要性を実感しました。現在は、電力供給のリスク対策としてエネルギー政策プロジェクトのリーダーを務め、耐震性などの面から会社のファシリティを見直すため、ファシリティマネジメントプロジェクトのリーダーも兼任しています。山元(モノづくりセンター):1976年の入社以来、生産系一筋で現場から学んだことは数知れません。2011年からスタートした「モノづくりセンター」では日本のモノづくりの伝承をテーマに生産現場、生産系オペレーターを中心とした人財育成に取り組んでいます。狙いは現場を強くできる人財を育てること、そしてグローバル人財をつくることにあります。■東日本大震災の体験をモノづくりに活かす山元(モノづくりセンター):震災当日は、岩槻で基礎技能の新人研修の準備をしていました。避難の際に特別大きな混乱が起きなかったため、安否確認が取れた社員が次々に生産再開への準備に参加して翌週から生産を通常に戻せました。akebonoは力のある会社だと感じました。福島製造㈱のメンバーは、震災を記録に残そうと、自分たちで震災からの復旧・復興の映像をまとめたDVDを作成しました。思いを受け継ぐために、形にする、残していくという素晴らしさも感じました。後藤(生産技術):私は福島の生産設備が損傷したという連絡を受け、翌日救援物資を車両に詰めて現場に向かいました。地震による被害を間近で見た経験をもとに、地震に強い設備のあり方を次世代生産設備の開発に反映していきます。早川(調達):当日は、緊急対策本部でまず調達部員の安否を確かめ、翌日からは東北地方のお取引先様の安否確認と生産継続の確認を行いました。災害時に安定供給を行う難しさに直面し、サプライチェーンのより精度の高い整備を急いでいます。三田(開発):震災の体験を通じて設計開発者としては、部品の供給が途切れたとき、代替部品をどう保証するかが課題となっています。まず、パッドやキャリパーに求められるスペックを一つひとつ分解し、「共通化・標準化」によって整理する。これはサプライチェーンが未整備の新興国で生産する際にも活かせるのではないかと考えています。小貫(総務):震災後の数日は、灯りの消えた本社(羽生)を心配され「akebonoは大丈夫なのか?」と近隣地域の方からお問い合わせをいただき、会社と社会とのつながりを強く感じました。モノづくりセンター山元 輝之「モノづくりセンターは一番身近な研修の場という位置づけです。手作りの教材を使って、体験体得することを重視しています」生産技術部門 生技開発部後藤 孝「目標はいかに良いものを低コストで生産し、競争力を高めるかにあります。日本でのモノづくりにとっても次世代生産設備の役割は重要です」

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