AKEBONO REPORT 2012
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akebonoは、日本でモノづくりを続けます小貫(総務):震災後、生産拠点ではない本社に自家発電装置を置きました。開発や実験、評価に使う設備が止まれば、後の生産にも大きな支障が生じるからです。社会貢献の一環として、本社自家発電の余剰電力を電力事業者に戻しています。■グローバリゼーションが日本を強くする後藤(生産技術):国内で生産し、競争力を維持するには、自働化を含めた生産技術の向上が欠かせないと感じています。例えば、5工程が必要だった作業を新設備では2工程で完了させるなど、開発と生産設備が協力して効率と品質を向上させ、コストを下げる工夫が必要です。三田(開発):今後はブレーキやステアリング、エンジンなどのいろいろな機能が協調し、いわば「クルマが一つの頭脳を持って判断」する技術の開発が進むと思います。一瞬に計算して交通事故や不法運転などでの被害を最小限にするアクションが取れるような、より役立つクルマをつくっていくところに、akebonoも開発として加わっていきたい。これらの制御は、日本が得意とする分野であり、akebonoもブレーキ単体にとどまらない広い視野での技術開発を考えたいと思っています。山元(モノづくりセンター):モノづくりセンターでの研修生は2012年4月までに2,000名、そのうち海外から150名を迎え入れました。APS*を中心とした基本研修を日本で徹底して学び、彼らが研修内容を自国に持ち帰って展開することで、akebonoのモノづくりの哲学がグローバルに浸透していくことを期待しています。小貫(総務):近年、本社への海外からのお客様が増えています。akebono研修センターへ海外の研修生を迎えるにあたり、食事内容やベッドサイズなどへの配慮はもちろん、「日本にきて良かった」「akebonoは良い会社だな」と思ってもらえるような環境づくりを心がけたいです。山元(モノづくりセンター):研修生が「akebonoのファン」になって帰国していってほしいです。海外からの研修生と交流するなかで、私たちも学ぶことが多く、akebono研修センターとも連携を深め、さらに内容をバージョンアップしていきたいと思っています。早川(調達):グローバル調達の基本的な考え方は「地産・地消」です。労働力が安いから海外に出るという発想ではなく、必要な地域で必要なモノをつくる。「共通化・標準化プラス特性」を進めて、現地で作る自動車の競争力が高まり結果として、日本でつくる自動車の競争力を高め、日本がまた新しい意味での輸出大国になっていけば、日本でつくり続ける意義になると思います。小貫(総務):日本は「六重苦」と言われるが過去にも同じような話はあり、また日本だけでなく、どの市場にも潜在的にあることです。目先の変化にとらわれず、長期的な視点で日本の競争力を高めていくことが大事です。早川(調達):中国の現地調達化プロジェクトに参加したとき、そこで海外製品を見て「モノづくり」は日本が一番進んでいると感じました。海外ではネジ1本作るのに削り出しで作り、材料のムダは安い人件費でカバーする。日本では圧造で、ほとんど切りカスを出しません。しかし技術は流出していくものなので、日本はモノづくりの技術を常に向上させないといけない。例えば材料の歩留まりなどの「必要悪」をどれだけ小さくするか。まだまだ日本のモノづくりが強くなる余地はあります。調達部門 調達企画部早川 嘉朗「震災後の2次・3次のサプライヤー調査では、把握できなかったことを、できるかぎり100%把握に近づけるよう調査を進めています」総務部 総務課小貫 賢次「エネルギーの調達法や利用法を見直せば、もっと工夫できるはず。総務の立場からも、日本にはまだまだ競争力があると思っています」*APS: Akebono Production System

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