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決算サマリー

※akebonoグループは、日本会計基準を採用しています。

連結業績ハイライト

2018年3月期(注)における当社グループの売上高は、欧州やアジア地域での需要は好調だったものの、北米での減収の影響で2,649億円(前期比0.4%減)となりました。利益については、北米事業の収益改善に向けた施策の効果やアジア地域における受注増加などにより営業利益は81億円(前期は42億円)、経常利益は58億円(前期は8億円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、欧州のアラスおよびスロバキア工場で固定資産の減損損失を計上したこともあり8億円(前期は4億円)となりました。

(注)2018年3月期とは

(1)北米・中国・タイ・インドネシア:2017年1月~2017年12月
(2)日本・欧州:2017年4月~2018年3月

となります。

→連結業績ハイライト

セグメント別(地域別)業績の状況

  • (1)日本
    SUVを中心とした新型車用製品の受注増のほか、フォークリフト用や鉄道車両挙動監視装置といった産業機械・鉄道車両用製品などが好調であったものの、中近東向け小型トラックの販売不振、また完成車メーカーの検査問題に起因した生産停止による受注の減少で、売上高は814億円(前期比0.6%増)にとどまりました。
    利益面では、前期と比べ鋼材など材料の市況高騰や、当社の賃金制度である業績連動による賞与支給額が増加したことによる人件費の増加、電動ブレーキや環境対応型摩擦材といった次世代に向けた研究開発関連費用増加などの影響で、営業利益は33億円(前期比19.0%減)となりました。
  • (2)北米
    ピックアップトラック、SUV用製品の受注が好調であったことや、販売価格の適正化による増収効果がありましたが、一部の米系完成車メーカーの乗用車生産からの撤退や補修品市場の一時的な在庫調整による減収により売上高は1,399億円(前期比8.7%減)となりました。利益面では、売上減による影響や鋼材価格の上昇による影響はあったものの、外部コンサルタント費用などの一時費用がなくなったことや、生産の安定化による緊急輸送費の大幅削減、残業や休日出勤が削減されたことによる労務費の圧縮などもあり、営業利益は15億円(前期は営業損失32億円)と大幅な増益となりました。
  • (3)欧州
    補修品市場向けの摩擦材ビジネスが減少しましたが、高性能量販車用ディスクブレーキ製品販売の増加などにより売上高は141億円(前期比22.1%増)となりました。利益面では、スロバキア工場において本格生産に向けた生産立ち上げの諸費用が発生したこと、生産ライン増設にともなう減価償却費の負担増、人員増加による労務費の増加や計画していた合理化の遅れ、フランスのアラス工場において利益率の高い摩擦材ビジネスが減少したことによる売上構成の変化などがあったため、営業損失20億円(前期は営業損失13億円)となりました。
  • (4)中国
    SUV用製品の高い需要に加え、新規モデルの受注獲得により売上高は225億円(前期比12.5%増)となりました。営業利益は、労務費の上昇に加え、減価償却費や環境規制対応コストの増加がありましたが、利益率の高い摩擦材製品の受注が好調であったこと、合理化が順調に達成できたことなどにより26億円(前期比2.8%増)と増収増益となりました。
  • (5)タイ
    国内向けおよび輸出向け小型車用製品の受注拡大と、補修用摩擦材製品の受注が好調であったことにより売上高は79億円(前期比19.0%増)となりました。利益については、労務費の上昇や昨年度操業を開始した鋳造工場の立ち上げに関わる費用増がありましたが、売上増の効果により営業利益は5億円(前期比14.4%増)と増収増益となりました。
  • (6)インドネシア
    新型MPV(多目的乗用車)用製品の需要好調に加え、欧州向けグローバルプラットフォーム(全世界での車台共通化)車用製品の輸出や、自動二輪車用製品の受注の大幅拡大などにより売上高は188億円(前期比14.9%増)となりました。利益については、労務費増の影響はあるものの、昨年度に発生した新規ビジネスの立ち上げにともなう一時費用がなくなったことや、合理化効果や受注拡大の影響で営業利益は20億円(前期比41.4%増)と大幅な増益となりました。
  • ※減損損失の計上について
    アラスおよびスロバキアの欧州2工場は、過去において両工場の業績が計画を下回ったため、今後の回収可能性を保守的に見直し、減損の兆候があると判断いたしました。その結果、アラス工場については8億円(6百万ユーロ)、スロバキア工場については7億円(5百万ユーロ)の減損損失を計上することといたしました。両工場については、新規ビジネスの獲得や合理化(生産性および調達)改善など諸施策を立案・実行しており、それぞれ2020年度および2019年度に黒字転換させる計画です。
  • ※為替変動の業績への影響について
    当社グループでは為替リスクの回避に向けた施策を実行しておりますが、2018年3月期においては、以下の影響がありました。
    1)売上高:為替の影響により前期比で55.0億円増加しております。
    2)営業利益:為替の影響により前期比で0.4億円減少しております。
    3)営業外収益:売上、仕入の計上時と決済時の為替差によって1.5億円の為替差益が発生しております。
    前期において売上、仕入の計上時と決済時の為替差以外の原因で発生した為替差損は日本国内での外貨借入れ、海外での現地通貨による借入れなどを実行することにより為替リスクをヘッジし、為替変動の影響を低減しております。

→地域別業績

資産、負債および純資産の状況

(資産)
流動資産は685億円と前期末比73億円の減少となりました。主な要因は、借入金等の返済などにより現金及び預金を29億円減少させたことや北米において売上債権が減少したことによるものです。
固定資産は1,259億円と前期末比2億円の減少となりました。主な要因は、株価の上昇により投資有価証券が12億円増加した一方で、減損損失15億円の計上により有形固定資産が15億円減少したことによるものです。

(負債)
流動負債は874億円と前期末比68億円の減少となりました。主な要因は、有利子負債が北米を中心に51億円減少したことによるものです。
固定負債は755億円と前期末比28億円の減少となりました。主な要因は、有利子負債が33億円減少したことによるものです。
なお、有利子負債残高(1,097億円)から「現金及び預金」を控除したネット有利子負債残高は970億円と前期と比べ55億円削減しました。

(純資産)
当期末の純資産は315億円と前期末比21億円の増加となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益8億円の計上により利益剰余金が増加したこと、株価の影響によりその他有価証券評価差額金が8億円増加したこと、為替の影響により為替換算調整勘定が2億円増加したことによるものです。

→連結財務パフォーマンス

連結キャッシュ・フローの状況

2018年3月期末の現金及び現金同等物は、前期末比29億円減少の127億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
主な要因は、法人税等の支払額が28億円あった一方で、税金等調整前当期純利益42億円や減価償却費124億円、運転資本の増減額+29億円などにより、資金が増加したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主な要因は、日米欧を中心とした設備投資により有形固定資産の取得による支出が114億円となり、資金が減少したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主な要因は、長期借入れによる収入192億円やセール・アンド・リースバックによる収入21億円があった一方で、短期借入金の純減額34億円や長期借入金の返済による支出253億円および非支配株主への配当金の支払額31億円などにより、資金が減少したことによるものです。

→連結キャッシュ・フローの状況

今後の見通し

当社グループは、2016年5月に2018年度を最終年度とする新中期経営計画「akebono New Frontier 30 - 2016」(以下、aNF30–2016)を発表いたしました。2018年3月期は、aNF30-2016の2年目にあたります。2018年3月期では、売上高、営業利益については目標を達成し、特にフリー・キャッシュ・フローについては、目標の30億円を大幅に上回る83億円のキャッシュを創出することができました。

自動車産業は100年に一度の大変革期に突入していると言われております。こうした急激かつ急速に変化する経営環境にスピードを持って対応し、持続的成長につなげて、健全な財務体質への回復を図るため、当社グループの特徴である「小規模専業独立製造会社」という立ち位置を最大限に活かす製品別事業部制(BU制)という新たな組織体制を2016年度より順次導入しております。BUと本社機能、BUと海外事業との効率的な連携などの課題は残されているものの、BU制の本格導入によって既存ビジネスにおける競争力の強化と新規ビジネス領域の拡大を図り、持続的成長につなげてまいります。

aNF30-2016では次の3つの柱を掲げ、諸施策を着実に進めていくことで「健全な財務体質への回復」を目指しております。

なお、aNF30-2016の進捗および今後の見通しは以下の通りです。

  • (1)北米事業の立て直し
    2014年から発生した受注急増による生産混乱の影響で、北米事業の業績は悪化し、ここ数年間は大きな損失の計上を余儀なくされました。そのため当社グループでは「北米事業の立て直し」を最大の経営課題として捉え、早期の収益安定に取り組んでまいりました。米国の収益安定に向けた4つの施策、①組織・管理体制の抜本的な改革、②生産性の改善、③生産能力の増強、④収支構造の改革に取り組み、さまざまな施策を実行した結果、2017年度には米国だけで18億円の営業利益を計上することができました。
    北米事業の立て直しは成果を出しているものの、一部のお客様による乗用車生産からの撤退や、生産混乱に起因して次期モデルの受注を逃したことなどにより、今後、数年間は売上高が減少する見通しですが、生産体制の最適化に向けた取り組みは継続してまいります。現地主導で大きな改革を実行したことによる課題も出てきており、米国のマネジメントだけでは対処できない改革フェーズに入ってきたものと考えております。今後の成長を実現するためには日本のモノづくりをベースとした製造会社という原点に立ち返り、さらに日米間の連携を強化し、北米事業のさらなる改善に向け努力してまいります。
  • (2)製品別事業部制への移行によるグローバルネットワークの確立
    製品ごとの収益性を向上させながらグローバルでの競争力を強化することを狙い、2016年度から5つの製品別事業部制(BU制)への移行を開始いたしました。具体的には、当社グループの製品群を下記の5つに分け、BUが、それぞれの分野のマーケティング、製品開発、生産、販売について責任を持ち、収支も含めて一貫した事業運営をいたします。
    ビジネスユニット(BU) 対象製品
    HP BU 高性能量販車用ディスクブレーキ
    Foundation BU ディスクブレーキ、ドラムブレーキなど機構部品
    インフラ&モビリティシステム(AIMS)BU 産業機械用製品、鉄道車両用製品、センサー製品
    Friction Material BU ブレーキパッド、ライニングなどの摩擦材製品
    補修品BU ブレーキパッド、ライニングなどの補修品
    一方、当社グループにとって最重要課題のひとつである次世代製品の開発や新規分野での材料・技術開発、今後大きく変わるモビリティ分野でのビジネスの開拓、ビジネスモデルの構築などは本社機能が担当し、積極的に展開を図っていきます。各機能のBU制への移行はまだ途上ですが、当初計画通り2018年度末までの移行完了を目指し、諸施策を順次実行しております。
    現状での大きな課題としてはBUと本社機能、BUと海外事業との効率的な連携などがありますが、これらについても本年度中での実現に向けて取り組んでまいります。
    次期中期経営計画では、半世紀間主流であった現行ディスクブレーキに対して、次世代型製品の立上げを本格化させます。インフラ&モビリティ分野では、自動車関連技術を応用した製品展開のみならず、今後はセンサー製品を核とした情報提供サービスへの展開につなげていく計画であり、その土台づくりを行います。
  • (3)ハイパフォーマンスブレーキ(高性能量販車用ブレーキ)ビジネスの拡大と欧州事業の新築
    当社グループは、数年前から高性能量販車用ディスクブレーキ製品の開発に取り組んでまいりました。高出力を誇る高性能車では、そのブレーキにかかる負荷は非常に高く、この負荷に耐えるブレーキの開発という大きなチャレンジに取り組み、製品としてお客様からの認知を得ることができました。2017年度には、スロバキア工場の本格稼働に向け、米国のコロンビア工場で生産し欧州に輸出していた高性能量販車用ブレーキ製品を順次生産移管してまいりました。スロバキア工場内での想定以上のスクラップの発生や、現地スタッフの教育に日本人専門家を多数派遣する必要が出たこと、高性能量販車分野における新規のお客様対応など、初期に起こりうる課題に対処し、本格稼働に向けた準備はほぼ完了いたしました。2018年度も損失は残りますが、その翌年度(2019年度)に黒字転換できる体制を整えてまいります。
    ハイパフォーマンスブレーキビジネスの今後の展開としては、最高性能への技術にこだわり、これまでの欧州一極だけでなく北米や日本も含めたグローバルでの展開に着手する計画です。
    欧州事業としては、フランスで生産している摩擦材事業の製品群に高性能量販車用製品を加えるなど、選択と集中を踏まえた新たな経営計画を策定中であり、こちらについても2020年度の黒字化を目指して諸施策を実行する計画です。

以上の3つの主要施策およびその他諸施策に取り組み、利益の拡大を図っています。これらの取り組みにより、アジア地域では計画を上回る業績を達成しました。aNF30-2016の目標である「健全な財務体質への回復」については、まだ道半ばながらもある程度の成果は出せたものと考えております。フリー・キャッシュ・フローは前期と比べ100億円増加し、83億円となりました。有利子負債は前期と比べ84億円削減し、ネット有利子負債は970億円となりました。自己資本比率も前期12.4%だったのに対し13.9%となるなど、一定の成果が出てきております。長期目標としている「自己資本比率20~30%」、「有利子負債の大幅な削減」の達成にはまだ時間が必要ですが、aNF30-2016の最終年度である2018年度にはさらなる改善を目指してまいります。

なお、当社グループの次期の見通しにつきましては、売上高2,444億円、営業利益75億円、経常利益54億円、親会社株主に帰属する当期純利益20億円を見込んでいます。

(単位:億円)
  2018年3月期実績 2019年3月期予想 増減
売上高 2,649 2,444 △205
営業利益 81 75 △6
経常利益 58 54 △4
税前当期純利益 42 51 9
親会社株主に帰属する当期純利益 8 20 12

<2019年3月期地域別業績予想>

(単位:億円)
  売上高 営業利益
2018年
3月期実績
2019年
3月期予想
増減 2018年
3月期実績
2019年
3月期予想
増減
日本 814 799 △15 33 30 △3
北米 1,399 1,145 △254 15 0 △15
欧州 141 191 50 △20 △9 11
アジア 492 494 2 51 52 1
連結消去 △196 △185 11 2 2 △0
連結合計 2,649 2,444 △205 81 75 △6

日本:
2019年3月期の日本事業の売上高は799億円(前期比1.8%減)を見込んでおります。営業利益につきましては、売上減少の影響や労務費増加などの影響はあるものの、生産などの合理化に取り組み、30億円(前期比10.2%減)を見込みます。

北米:
次期の北米事業の売上高は1,145億円(前期比18.2%減)を見込んでおります。利益面では、労務費の改善や合理化効果を見込むものの、売上減少の影響で、営業利益は0億円(前期は営業利益15億円)の見通しです。

欧州:
高性能量販車用ディスクブレーキ製品販売の増加などにより増収を見込んでいます。売上増の影響とともに、歩留まり率の向上によるスクラップ費の削減などで、営業損失は前期と比べ11億円改善し、9億円となる見通しです。

アジア:
労務費の上昇や、投資にともなう償却費負担増などの減益要因はあるものの、売上増の影響や合理化効果で営業利益は前期並みの見通しです。物価上昇や人件費の増加に加え、タイにおいては鋳物工場立ち上げにともなう初期費用による損失が見込まれます。しかしながら、当期比ではさらなる増収を見込んでおり、確実に利益に結びつけてまいります。

→連結業績予想

→中期経営計画

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