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対処すべき課題

1.当社国内生産子会社が製造する一部製品の定期検査報告における不適切な行為について

当社は、当社国内生産子会社が製造する自動車用ブレーキ製品に関し、お客様(完成車メーカー)に提出する定期検査報告書の記載において、一部不適切な行為が行われていたことを確認したため、社外弁護士で構成する特別調査委員会を設置し、事実関係の調査をしてまいりました。この不適切行為の事実の全容及び具体的な再発防止策につきましては、2021年2月16日付「当社一部製品の定期検査報告における不適切な行為について」にて公表しております。また、本件に関連し、ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド社からのISO 9001認証及びIATF 16949認証の一時停止の通知受領後、同社の特別審査を受けた結果、当社はISO 9001認証一時停止が解除されましたが、当社国内生産子会社4社はIATF 16949及びISO 9001の認証取消しの措置を受けております。(2021年4月9日付「ISO 9001/IATF 16949 認証特別審査結果について」にて公表しております。)

お客様並びに関係各位に多大なるご迷惑とご心配をおかけすることとなり、改めて深くお詫び申し上げます。今後は、IATF 16949及びISO 9001の再認証に向けて尽力するとともに、下記の再発防止策を着実に実行することによりコンプライアンス並びにガバナンスの強化を図ることで、再発防止と信頼の回復に全力で取り組んでまいります。

経緯

当社は、事業再生ADR手続成立の後、2019年10月より新経営体制に移行しましたが、同年11月に当社品質保証部門より代表取締役社長に対し、当社生産子会社の曙ブレーキ山形製造株式会社(以下、山形製造)が製造する自動車用ブレーキパッドの一部で、お客様に提出する定期検査報告書の数値記載において不適切と思われる行為が行われているとの報告がありました。その報告を受け、同年12月より社内調査を開始いたしましたが、その過程において山形製造以外の生産子会社が製造する製品でも同様の可能性があるとの認識を持つに至り、2020年2月より調査対象を国内全生産拠点に拡大いたしました。

その後、同年3月上旬に一部のお客様から、当社生産子会社の曙ブレーキ岩槻製造株式会社が製造するディスクブレーキの一部で、定期検査報告書に不審なデータが記載されているとの指摘を受けました。このような状況から新経営陣は、客観的な視点からの徹底的な調査が必須であるとの判断に至り、3月中旬開催の取締役会において社外弁護士4名で構成する特別調査委員会の設置を決め、同委員会による調査を開始いたしました。

同委員会の調査開始後、その過程で判明した不適切行為は、調査完了を待たずに速やかに是正いたしました。また、対象となるお客様へ順次、事実関係のご説明を行うとともに、対象製品についてお客様と協議、評価・検証を2021年1月末まで継続して行ってまいりました。

同委員会からの調査結果の最終報告は2020年9月に受け、その調査報告内容を精査するとともに、同委員会からの提言を受けた再発防止策を策定し、取り組みを開始しております。

再発防止策

特別調査委員会から、組織体制の見直し・監査機能の強化、生産設備見直しとITシステム導入、教育研修によるコンプライアンスの強化と組織風土改革等の再発防止提言を受け、代表取締役を委員長とする「全社風土改革委員会」を3月1日付で設置いたしました。そして、この委員会の下に重要施策を推進するための5つの分科会を設置し、再発防止策の具体的な活動を立案、推進することといたしました。各分科会の施策と進捗は下記のとおりです。

(1) 組織体制の見直し・監査機能の強化
1.3線ディフェンス機能構築
従来、第1線である製造拠点内品質管理課が検査を実施し、お客様への定期検査報告書を作成及び承認を行っていましたが、定期検査報告書の承認は第2線である本社品質保証部門が行うことに変更いたしました(2020年4月~)。また、第3線として内部監査室に製品監査機能を新たに追加し、品質保証部門の監査を行うこととしました(2021年1月~)。

2.上記、品質保証の機能強化のため、第2線の品質保証部門の組織改定を実施すると共に、第3線ディフェンス機能構築のために内部監査室の人的強化を図りました(2021年1月1日付)。

3.社外取締役・社外監査役との内部通報に関する定期的情報交換の場を設けるとともに、重大な内部情報は直接、社外取締役・社外監査役に報告する仕組みを構築しました(2021年3月~)。

(2) 人の手が介在できないIT検査システムの導入
ITを活用し、検査データを自動的にデータベースへ集積、出力し、定期検査報告書を作成することによって、検査データ修正など人の手が介在できない、トレーサビリティも確保できるIT検査システムの導入を進めています(2021年3月~)。

(3) 検査内容・検査項目の見直し
検査技術、部品材料技術の向上等により、現在では合理的でない検査内容・検査項目については当社からお客様へご提案し、お客様と協議の上、見直しを行います(2020年10月より協議開始)。

(4) 品質教育・コンプライアンス教育の強化
1.製造現場のオペレーターから班長、係長、幹部職までの階層別の品質教育及びコンプライアンス教育を見直し、体系化して実施しています(2021年4月~)。

2.開発部門や品質保証部門が関与し、品質分野の専門家の育成、統一した検査員の社内資格制度の仕組み作りを進めています(2021年4月~)。

(5) 風土改革・意識改革
経営トップがリーダーシップを取り、組織風土と社員意識の向上、内部統制システム(コンプライアンス、リスク管理、グループ企業管理等)の確保、ガバナンスの強化に取り組みます。また、経営トップからの定期的なメッセージ発信他、社内コミュニケーションの強化、内部通報制度の実効性向上等の施策を行い、社員意識調査等による定期的モニタリングで施策効果を測っていきます。

2.事業再生計画の進捗状況と今後の取り組み

当社は、2019年9月18日付「『事業再生計画』の株式会社東京証券取引所への提出に関するお知らせ」にて公表したとおり、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)の中で全てのお取引金融機関からご同意いただいた事業再生計画に沿って、事業再構築のための各施策に取り組んでおり、全ての拠点・事業部門において、できる限り早期の赤字脱却を実現すべく、聖域なき構造改革を実行し、事業再生計画の達成を目指しております。各地域での構造改革の進捗状況は以下のとおりです。

日本

国内4工場の縮小については、工場の生産最適化に向けた改善活動を鋭意実施しております。また国内工場から海外工場への生産移管については、完成車メーカーとの調整により多少進捗の遅れがあるものの、国内工場間の生産移管はほぼ計画どおり進めております。

なお、2020年12月1日付「国内生産拠点における早期退職措置に関するお知らせ」及び2021年2月16日付「国内生産拠点における早期退職措置の実施結果及び特別損失の計上に関するお知らせ」にて公表したとおり、国内生産再編にともなう人員適正化を目的に、国内生産拠点の社員を対象として早期退職者の募集を行い、募集人員180名程度に対して、223名の応募がありました。以上の施策を推進することで課題である固定費の削減に取り組み、計画達成を目指します。

北米

米国の生産2拠点の閉鎖については、テネシー州の工場は1か月予定を早め2020年7月末に、サウスカロライナ州の工場は計画どおり2020年9月末までに完了いたしました。また、両拠点の土地・建物などの売却処理も、一部は2021年度になりますが、既に完了しております。今後は引き続き、最終的な1工場体制へのシフトの検討を進め、適正サイズのオペレーションによる収益確保を目指します。

欧州

欧州の生産拠点及び開発拠点については、当社に損失が生じない形での提携又は売却の交渉を進めてまいりましたが、以下の内容に変更することといたしました。

ハイパフォーマンスブレーキ(高性能量販車用ブレーキ)を製造しているスロバキア工場は、営業利益の黒字化が実現されたこと及び将来の新規受注可能性が高いことなどから、経済性が事業再生計画を上回ることが予想されるため、存続することといたしました。また、ドイツの拠点についても、欧州のお客様との窓口機能及び研究開発拠点として新規受注獲得に貢献でき、スロバキア工場の存続にとって必須であるとの認識から、存続することといたしました。

一方、フランスのアラス工場については、当初の計画通りの提携又は売却が実現できなかったため、既存製品の生産移管等が完了した後の2022年3月に閉鎖を予定し、その後解散することといたしました。なお、フランスのゴネスにある研究開発拠点につきましては、2021年3月末に閉鎖しております。

3.新型コロナウイルス感染症への対応

昨年初来、新型コロナウイルス感染症が全世界で蔓延する中、当社が事業を行う全ての地域において、従業員、さらにはお客様、お取引先様、地域住民の皆様などの安全・安心を第一に考え、各国自治体の指導に基づいた対応を実施しています。今後も社内外における感染防止、及び感染が起きた場合の拡大防止を最重要課題の一つとして各種施策を実行してまいります。

当社の生産活動においては、これまでのところ新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であり、またサプライチェーンへの影響も限定的です。

今後は新型コロナウイルス感染症の影響に起因する輸送問題(港湾作業者不足による輸送遅延)や各地域における感染拡大を注視しながら生産活動の維持を目指します。