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2013年03月05日

マクラーレン超高性能ロードカー『P1™』搭載 akebonoブレーキシステムの概要について

曙ブレーキ工業株式会社(代表取締役社長:信元久隆 本店:東京都中央区 本社:埼玉県羽生市、以下akebono)は、本年2月26日、マクラーレンの超高性能ロードカー『P1TM』にブレーキキャリパー、ブレーキパッドおよびブレーキディスクを含むブレーキシステムを提供することを発表しましたが、第83回ジュネーブモーターショープレスデー初日(3月5日)のプレスカンファレンスにおいて、マクラーレンが『P1TM』をお披露目しましたので、ブレーキシステムの概要についてお知らせします。

<akebono製ブレーキシステムの概要>
『P1TM』にはGT3やル・マンなどのレーシングカーと同等性能のブレーキが採用されました。この性能は、現在販売されているスーパースポーツカーを凌駕するものです。マクラーレンのF1パートナーであるakebonoが開発したブレーキシステムには、最も厳しく極限のテストを通った新型カーボンセラミックディスクが搭載され、ロードカーでは初となりました。

このカーボンセラミックはマクラーレンの『P1TM』やF1マシンに使われる以前、その耐熱性の高さから宇宙ロケットプログラムで採用されています。従来のカーボンセラミックより強く、放熱性に優れており、ディスクとパッドの摩擦によって発生するエネルギーをマクラーレン『MP4-12C』に使われているカーボンセラミックより50%多く吸収します。

このカーボンセラミックディスクは、ディスクの両摩擦面に、地球上でもっとも堅い素材のひとつである炭化ケイ素を含浸させています。これにより高い制動性を発揮するばかりでなく、表面を美しい鏡面に仕上げることができました。

akebonoはF1技術を応用し、最適なパフォーマンスを確保するべく、素材、構造、表面処理などブレーキシステムの全てにおいてこだわってきました。このような取り組みによって、大幅な軽量化、卓越した冷却性能、高い耐熱性および剛性の確保を可能にし、ブレーキシステム全体に高い信頼性と効率をもたらすことができました。

このブレーキシステムは従来のカーボンセラミックと比べ、より低温で作用しますが、高速走行時等の極限状況では従来のカーボンセラミックよりおよそ150℃も高い温度で使用することができます。高温での使用が可能なディスクであるため、通常より小型化、軽量化が可能になりました。『P1TM』のブレーキディスクサイズはフロントが390mm、リアが380mmとしています。

『P1TM』専用のブレーキパッドはakebonoが開発し、akebonoのモノブロックアルミニウム・オポーズドキャリパーに組み込まれています。フロントは6ピストン、リアは4ピストンで、軽量化と引きずりの最小化という(相反する)性能の同時追求にF1の技術が応用されています。

ブレーキシステムは性能および重量ともに、要件の厳しい『P1TM』専用に開発されました。性能はル・マンレース用に近く、その減速度は約2Gにも達する一方で、4kgもの軽量化を実現しています。「スーパースポーツカーと呼ばれるマシンの多くは、ル・マン、シルバーストーンおよびモンツァなどの高速サーキットでのブレーキングに苦しんでいますが、それはダウンフォースが足りないためです。『P1TM』はダウンフォースが発生している環境下で作動するため、非常に高い制動力を発揮します」と『P1TM』チーフテストドライバーのクリス・グッドウィン氏は述べています。

<代表取締役社長 信元久隆のコメント>
「当社は2007年よりF1のボーダフォン・マクラーレン・メルセデスと協力関係を結び、世界最高峰のモータースポーツにおいてブレーキ技術の開発と精錬を重ねてきました。マクラーレンのFIA GTシリーズのレース専用カー『MP4-12C GT3』に当社ブレーキシステムが採用されたのに続き、この度、マクラーレンが最先端の技術を注ぎ込み、満を持して世に送り出した超高性能ロードカー『P1TM』に採用されたことは、世界最高のブレーキメーカーを目指す我々にとって大変名誉なことであり、誇りでもあります。当社は<将来に向けた技術の差別化>を重点課題のひとつとして掲げ、高性能量販車向けビジネスの立上げを準備してきましたが、今回の『P1TM』へのブレーキシステム提供はその第一弾であり、今後とも弛まぬ技術開発により、さらなるビジネスの拡大を図っていきます」

第83回ジュネーブモーターショー プレスカンファレンス
第83回ジュネーブモーターショー プレスカンファレンス
(左:ロン・デニス氏、中央:セルジオ・ペレス氏、右:当社代表取締役社長 信元久隆)