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開発・設計段階での取り組み

環境負荷物質を使用しない製品づくりを推進

ブレーキ摩擦材は使用することによりダストが発生します。北米ではブレーキダストによる河川や湾の生態系に影響を及ぼすことが懸念され環境負荷物質規制が強化されています。akebonoは、ブレーキ摩擦材から発生するブレーキダストを大きな技術課題と捉え、ダストを少なくする技術開発やパッドの長寿命化にチャレンジしています。 

また、akebonoでは環境負荷物質の少ない製品づくりを推進し、使用する原材料は法規よりさらに厳しい独自の自主ガイドラインを定め、開発・設計段階から、作業・環境安全性について厳しくチェックしています。環境負荷物質に該当する原材料は使用を避けるほか、人や環境への影響が大きいと判断した場合は代替材料に換えるなどの対応を行い、より環境負荷物質の削減に取り組んでいます。

akebono独自材料の開発


akebono独自材料の創製

中央技術研究所では、摩擦材向け材料、低環境負荷材料、摩擦現象の研究などを中心として研究開発に取り組んでいます。摩擦材向けakebono独自材料として、摩擦材の高温域での性能を向上させる新規材料の開発に成功しました。この新規材料の熱分解開始温度は約800度と固体潤滑材の中でも最も高い温度となっています。さらに材料摩擦特性として耐焼付性は従来の約30%向上し、効き(μ)安定性をアップさせることが可能となります。この材料を配合した摩擦材は、二輪耐久レースへ適用され、耐摩耗性での効果を発揮しています。また4輪では、鳴き抑制、耐摩耗性での効果を発揮し、超高性能ロードカーであるマクラーレン「P1TM」の摩擦材に量産材として採用されています。このように、この材料を配合した摩擦材は性能が向上し、お客様や市場の要求に対応するとともに、パッドの長寿命化実現による省資源化にも貢献しています。今後、この材料の自動車用摩擦材への採用拡大を進めていくとともに、自動車用ブレーキ以外の分野にも展開を図り、他社との差別化を図り、優位性を高めていきます。

摩擦に頼らない「MR流体ブレーキ」の開発

MR流体ブレーキを使ったブレーキの原理

MR流体を使ったブレーキの原理

とそれを搭載した超小型モビリティ

MR流体ブレーキ(試作品)とそれを搭載した超小型モビリティ

中央技術研究所では、自動車の電動化への対応と地球環境に配慮した製品として、摩耗粉ゼロを実現する「MR流体ブレーキ」の研究開発を東北大学流体科学研究所(中野政身教授)と共同で進めています。近年、交通事故の防止や環境負荷物質の排出削減にむけて、車の自動運転技術や電動化が注目される中、それらの技術への対応とともに、摩耗粉やノイズを出さない人と環境に優しいブレーキ製品の実現のため、akebonoは、従来の摩擦ブレーキとは大きく異なる構造のブレーキの開発に取り組んでいます。

MR流体(Magneto Rheological Fluid)とは、磁気に反応することで特性が液体から半固体へと変化する流体のことで、1960年代から研究されてきた機能性材料です。磁場を加えると、液体中に分散された粒径数ミクロンの強磁性体粒子(鉄粉)が磁界方向に整列して鎖状粒子クラスターを形成し、半固体化します。

MR流体ブレーキは、車両に固定された円盤と、ハブベアリングと一緒に回転する円盤が交互に配置されている間にMR流体が充填される構造のブレーキです。ブレーキ内部に配置された電磁石のコイルに電流を流し、円盤と垂直の方向に磁界を発生させることで固定円盤と回転円盤の間に鎖状粒子クラスターができます。回転円盤は回転し続けているため、鎖状粒子クラスターがせん断変形を受け崩壊し、隣のクラスターとつながり、また崩壊するという現象が繰り返され、回転円盤に抵抗力が発生します。この抵抗力がブレーキ力となります。

MR流体をブレーキに用いることによって、摩耗しないため摩耗粉が発生せず、環境負荷物質の排出を抑えることが可能となります。また、MR流体は磁場に数千分の1秒の速さで反応するため、俊敏かつ安定した制御が可能となります。さらに、電子制御装置で電圧(起磁力)を直接コントロールするため、あらかじめ設定された効きのパターンの中から、ユーザーが自分の好みのブレーキフィーリングを選べるようになります。

akebonoは約3年前から、超小型モビリティを対象に研究開発を行い、2015年3月には試作品を完成させました。スマートシティやスマートモビリティに適合したスマートブレーキとして、2020年の実用化を目指し、実験(実走・台上)と改良を重ねています。

コア技術である「摩擦と振動、その制御と解析」にかかわる全ての分野において世界を牽引する存在となるべく、今後も研究開発に取り組んでいきます。

窒化処理ローター


FNC処理ローター

GM社のトラックに採用されているakebono製ローターには軟窒化処理(FNC処理)が施されており、高いブレーキ性能、業界最高レベルの長寿命、そして低ノイズ・低振動を実現しています。ローターの軟窒化処理により、高い防錆性能に加え耐摩耗性も強化され、耐疲労性、耐熱性などのブレーキ性能も向上しています。また摩耗粉低減によりホイールの汚れも低減しています。長寿命化による省資源と、摩耗粉低減による環境負荷低減にも貢献しています。

銅フリー摩擦材の開発と展開

銅フリーパッド(写真は試作品)

銅フリーパッド

米国ワシントン州とカリフォルニア州では、ブレーキ摩擦材から排出される化学物質が河川や湾の生態系に影響を及ぼすことを防ぐために、自動車ブレーキ摩擦材に含有される化学物質規制に関する州法が発効されています。カリフォルニア州では、2021年から銅の規制が始まり、2025年以降、銅含有率0.5%以上の摩擦材の新車組み付けが禁止となります。従来の摩擦材には、高温時の効きの安定性のために銅が使用されてきましたが、akebonoでは、銅フリー摩擦材を開発し、補修用としては2007年から、新車装着用としては2014年からお客様に納入しています。複数の素材を組み合わせることで、銅を使用する際と同等の性能をもたせ、コストも同等に抑えています。

また、akebonoブランド補修用ブレーキパッドの約8割は、銅含有量をカリフォルニア州の2025年規制値未満とすることを実現し、さらに今後規制の対象となる可能性のあるアンチモンのフリー化もいち早く達成しています。

今後もワシントン州法への対応なども継続して、確実に法規対応していきます。

  • ※ 出荷枚数ベース

低燃費を実現する次世代ブレーキの開発

電動ブレーキ

電動ブレーキ

電動ブレーキ

電動ブレーキは、パッドの押しつけ機構を電動化したブレーキシステムです。低燃費を実現する車両の軽量化に貢献し、メンテナンスなどで廃液処理されるブレーキフルードが不要となり、環境保全にも貢献します。

低引きずりキャリパー

低引きずりキャリパー

低引きずりキャリパー

低引きずりキャリパーはパッドとローターの隙間をミクロン単位で最適化したブレーキです。ブレーキ解除時のパッドとローターの接触による回転抵抗を減少させることで、自動車の燃費向上に寄与します。

コンマ数パーセントの軽量化追求と持続した挑戦

コンマ数ミリを正確に調整

akebonoは、2007年よりF1のマクラーレンチームにブレーキシステムを供給しています。マクラーレンの妥協のない厳しい要求に応えるため、構造、材料、表面処理などをakebono独自の技術で開発し、コンマ数パーセントを追求する徹底した軽量化と高剛性、優れた冷却性能に加え、常に高い信頼性と安定した性能を非常に高度な次元で実現してきました。

F1やWEC(FIA世界耐久選手権)などのレースを通じたブレーキ技術開発で得たノウハウは、量産製品の研究・開発に反映しています。グラム単位の軽量化を追求する技術は、自動車の燃費の向上による省エネを促進することにつながり、また、耐久レース用ブレーキ開発から得られる高負荷、耐摩耗性向上技術は、製品の長寿命化や省資源に寄与します。 

マクラーレンの超高性能ロードカー「P1TM」に採用された、軽量・高剛性を追求したキャリパー、高性能パッドと大幅に重量を低減したカーボンセラミックブレーキディスクは上記技術を取り入れた製品のひとつです。 

akebonoは高性能車両用の米国化学物質規制対応型の銅フリーパッド開発にも取り組んでおり、今後は制動性能と環境性能を両立させたパッドを量産車両に展開することで、高性能車両の分野でも環境性能を重視した製品を提供できるように進めています。

日本機械学会賞(技術)を受賞

『P1TM』用ブレーキシステム

akebonoは「市販ロードカー用高性能自動車ブレーキの開発と量産化」で、一般社団法人日本機械学会より2015年度「日本機械学会賞(技術)」を受賞しました。このブレーキシステムは、英国マクラーレン社の超高性能ロードカー「P1TM」に搭載されています。

同賞は、日本の機械工学と工業の発展を奨励することを目的に設けられたもので、1958年の開始以来、毎年、優れた論文、技術、製品が表彰されています。今回の受賞製品は、「超高速・高温域からの安定した制動力」、「大幅な軽量化」、「市街地走行での快適性」の3点を高次元で実現しています。

akebonoの受賞は1982年以来34年ぶり、2回目となります。

ノイズと振動を制御する技術へ挑む

ブレーキづくりにおいては、エンドユーザーの快適な乗り心地を損なう「鳴き」や「振動」をいかにコントロールできるかが非常に重要です。「鳴き」とは、パッドとローターの摩擦によって発生する「振動」がキャリパーなどに伝わり、ブレーキ全体が共振して音が発生する現象を指します。鳴きの他にも様々な現象が存在しますが、これらの不快な音や振動の現象を、akebonoでは「NVH」(Noise(ノイズ:鳴き)、Vibration(バイブレーション:振動)、Harshness(ハーシュネス:路面の凹凸によるガタゴト音や低速時のきしみ音)の3つの頭文字に由来)と呼び、対策に取り組んでいます。鳴きや振動には、走行環境や走行履歴、車速、ブレーキ温度、部品の材質や形状、ローター摩耗などさまざまな要因が関係するため、その対策には非常に高度な技術を要します。akebonoでは特に難しい鳴きの対策を「複素固有値解析」と呼ばれるコンピューターシミュレーションを用いて行っています。このシミュレーションに、鳴きや振動に関係する様々な要因を反映し精度を上げることで、実際のブレーキを作る前の設計段階において対策が可能となり、試作の回数の削減による省資源・省エネルギーにも貢献しています。また、ジャダーと呼ばれる振動現象に対しても、フィールドデータや台上試験結果の分析、シミュレーションの活用などにより発生のメカニズムを解明し、ブレーキ部品の最適設計へ落し込むことで、防止を図っています。

グローバルでの競争力を強化するAi-Ring

Ai-Ringのコンセプト

Ai-Ring(アイ・リンク)

Ai-Ring(アイ・リンク)は、自動車部品メーカーとしては国内最大規模を誇るakebonoのテストコースです。2011年3月に発生した東日本大震災により大きな被害を受けましたが、被災後の2012年に高速周回路を復旧させた後、2016年10月に、ワインディング路の新設や悪路総合評価路、坂路などの各種テストコースの拡充に加え、開発段階での安全性を最優先で確保するためのダイナモ実験設備(ブレーキ試験機)の増設が完了し、竣工式を実施しました。これにより台上評価~ダイナモ評価~実車評価までを同施設内で実施することが可能となり、開発のスピードアップが実現します。さらに、エンジニアが一貫して評価に携わることのできるフローとし、運転スキルや車両の構造・機能に関する知識を深めることのできる、人財育成の場としても活用していきます。自動車業界において、地球環境問題への対応や安全性向上などのための電動化・自動運転という技術革新が急速に推し進められているなかで、akebonoでは、車両の構造や機能に関する深い知識とともに、社会の変化に速やかに対応できる感性を身につけたブレーキの専門家を育成し、さらなる開発競争力の向上を目指します。加えて、2017年末には、グローバルでの評価技術の集約を実施し、これまで得た評価結果やNVHに関する情報を必要な時に取り出せるデータベースの構築も計画しています。akebonoは、今後も実車を基軸にした評価能力の向上、NVH解析技術やシミュレーション技術の向上により新規製品の開発に積極的に取り組んでいきます。

なお、今回の拡張工事のコース造成の際に伐採した樹木はウッドチップ化し、土砂流出の抑制のために法面に吹き付け100%再利用することで、ゼロエミッションを実現しました。また、敷地内に総発電量40kWの太陽光発電システムを導入し、大型ダイナモ等、電力負荷設備が多いエリアに供給するほか、一部を蓄電し、停電時は事務所内のネットワークサーバー、蛍光灯、コンセントが7時間使用できるようにしています。

  • ※NVH:Noise(ノイズ:鳴き)、Vibration(バイブレーション:振動)、Harshness(ハーシュネス:路面の凹凸による振動)の頭文字に由来。ブレーキの会適正を損なう諸々の現象を当社では「NVH」と呼び、対策に取り組んでいます。