1. Home > 
  2. CSR情報 > 
  3. 環境への取り組み > 
  4. 開発・設計段階での取り組み

開発・設計段階での取り組み

環境負荷物質を使用しない製品づくりを推進

ブレーキ摩擦材は使用することによりダストが発生します。北米ではブレーキダストによる河川や湾の生態系に影響を及ぼすことが懸念され環境負荷物質規制が強化されました。akebonoは、発生するブレーキダストを大きな技術課題と捉え、摩耗によるダストを少なくする技術開発やパッドの長寿命化にチャレンジしています。 

また、akebonoでは環境負荷物質の少ない製品づくりを推進し、使用する原材料は法規よりさらに厳しいakebono独自の自主ガイドラインを定め、開発・設計段階から、作業・環境安全性について厳しくチェックしています。環境負荷物質に該当する原材料は使用を避けるほか、人や環境への影響が大きいと判断した場合は代替材料に換えるなどの対応を行い、より環境負荷物質の削減に取り組んでいます。

akebono独自材料の開発


akebono独自材料の創製

中央技術研究所では、摩擦材向け材料、低環境負荷材料、摩擦現象の研究などを中心として研究開発に取り組んでいます。摩擦材向けakebono独自材料として、摩擦材の高温域での性能を向上させる新規材料の開発を行いました。この新規材料の熱分解開始温度は約800度と固体潤滑材中最高温度を示し、さらに材料摩擦特性として耐焼付性が約30%向上し、効き(μ)安定性もアップしました。この材料を配合した摩擦材は、二輪耐久レースへ適用され、耐摩耗性での効果を発揮しました。また4輪では、鳴き抑制、耐摩耗性での効果を発揮し、超高性能ロードカーであるマクラーレン「P1TM」の摩擦材に量産材として採用されています。このように、この材料を配合した摩擦材は性能が向上し、お客様や市場の要求に対応するとともに、パッドの長寿命化が図れ、省資源にも貢献しています。 

akebonoは、摩擦材向け独自材料の開発を進めることにより、他社との差別化、優位性確保を図っています。

窒化処理ローター


FNC処理ローター

GM社のトラックに採用されているakebono製ローターには軟窒化処理(FNC処理)が施されており、高いブレーキ性能、業界最高レベルの長寿命、そして低ノイズ・低振動を実現しています。ローターの軟窒化処理により、高い防錆性能に加え耐磨耗性も強化され、耐疲労性、耐熱性などのブレーキ性能も向上しています。また磨耗粉低減によりホイールの汚れも低減しています。長寿命化による省資源と、磨耗粉低減による環境負荷低減にも貢献しています。

米国化学物質規制対応ブレーキ摩擦材

銅フリーパッド(写真は試作品)

銅フリーパッド(写真は試作品)

米国ワシントン州とカリフォルニア州は、ブレーキ摩擦材から排出される化学物質が河川や湾の生態系に影響を及ぼすことを防ぐために、自動車ブレーキ摩擦材に含有する化学物質規制に関する州法を発効しました。カリフォルニア州では2014年1月1日より製造されるパッドやライニングなどのブレーキ摩擦材に含有される銅を含む対象物質が許容量を超えないこと、また銅の含有量により、A≧5wt%、B<5wt%、N<0.5wt%と区分された「環境適合マーク」をパッドやライニングに表示することが義務付けられました。

akebonoでは、米国はもとより、日本、アジアの各生産拠点、開発、品証、営業、生産技術など、米国に流通する摩擦材の生産に関わる多くの部署がグローバルで協力し、法規対応を実施しました。今後も梱包の「認証マーク」やワシントン州法への対応なども継続して確実に法規対応していきます。

低燃費を実現する次世代ブレーキの開発

akebonoでは、低燃費を実現するための自動車の軽量化に対応する次世代ブレーキシステムの研究開発に取り組んでいます。部品点数の削減などにより省資源にも貢献します。


矢印部分が電動機構部分

矢印部分が電動機構部分

■電動ブレーキ

電動ブレーキは、パッドの押しつけ機構を電動化したブレーキシステムです。低燃費を実現する車両の軽量化に貢献し、メンテナンスなどで廃液処理されるブレーキフルードが不要となり、環境保全にも貢献します。

低引きずりキャリパー

低引きずりキャリパー

■低引きずりキャリパー

ブレーキ解除時のパッドとローターのわずかな接触はローターの回転抵抗となり燃費に影響します。また、パッドとピストンの間隔がごくわずかに変化するだけでも、ブレーキペダルの動き出しからブレーキの効き始めまでのタイミングがずれ、ドライバーがブレーキに不安を感じるようになります。低引きずりキャリパーはパッドとローターの隙間をミクロン単位で最適化し、回転抵抗を減少させることで、自動車全体の燃費向上に貢献します。

ノイズと振動を制御する技術へ挑む

ブレーキづくりにおいては、エンドユーザーの不快な乗り心地に直結する「鳴き」や「振動」をいかにコントロールできるかが非常に重要です。「鳴き」とは、パッドとローターの摩擦によって発生する「振動」がキャリパーなどに伝わり、ブレーキ全体が共振して音が発生する現象を指します。ブレーキの快適性を損なう諸々の現象を、akebonoでは「NVH」(Noise(ノイズ:鳴き)、Vibration(バイブレーション:振動)、Harshness(ハーシュネス:路面の凹凸による振動)の3つの頭文字に由来)と呼び、対策に取り組んでいます。鳴きや振動には、走行環境、速度、制動温度、部品の材質、形状、ローターの回転速度などさまざまな要因が関係し、その対策を考えるのは困難ですが、akebonoでは「複素固有値解析」 によるシミュレーションを用いて、さまざまな条件のもとでの鳴き・振動を予測する試みを行っています。シミュレーションの精度を上げることにより、設計段階で鳴きを精度良く予測できるようになります。ブレーキの実物をつくる前から対策が可能になると、試作の回数が減り、省資源・省エネルギーにも貢献できます。

コンマ数パーセントの軽量化追求と持続した挑戦

コンマ数ミリを正確に調整

akebonoは、2007年よりF1のマクラーレン メルセデスチームにブレーキシステムを供給しています。マクラーレンの妥協のない厳しい要求に応えるためコンマ数パーセントを追求する徹底した軽量化と高剛性、優れた冷却性能に加え、常に高い信頼性と安定した性能を、非常に高度な次元で実現し、構造、材料、表面処理などをakebono独自の技術で開発してきました。 

F1やWEC(FIA世界耐久選手権)などのレースを通じたブレーキ技術開発で得たノウハウは、量産製品の研究・開発に反映し、グラム単位の軽量化を追求する技術は、燃費の向上による自動車の省エネを促進することにつながり、また、耐久レース用ブレーキ開発から得られる高負荷、耐摩耗性向上技術は、製品の長寿命化や省資源に寄与します。 

マクラーレンの超高性能ロードカー「P1TM」に採用された、軽量・高剛性を追求したキャリパー、高性能パッドと大幅に重量を低減したカーボンセラミックブレーキディスクは上記技術を取り入れた製品のひとつです。 

akebonoは高性能車両用の米国化学物質規制対応型の銅フリーパッド開発にも取り組んでおり、今後は性能と環境性能を両立させたパッドを量産車両に展開することで、高性能車両の分野でも環境性能を重視した製品を提供できるように進めていきます。

グローバルでの競争力を強化する新生Ai-Ring

新生Ai-Ringのコンセプト

Ai-Ring(アイ・リンク)

Ai-Ring(アイ・リンク)は、自動車部品メーカーとしては国内最大規模のテストコースであり、高速制動試験などさまざまな実車ブレーキ評価試験を行うことができます。2016年10月に完成予定の新生Ai-Ringでは、新たにワインディング路や悪路総合評価路、坂路などの各種テストコースを拡充する計画です。これらのコースを活用し、高性能車向け製品のさらなる性能向上、品質向上と、電動ブレーキの開発強化に取り組んでいきます。また、設計段階での安全性を最優先で確保するために、ダイナモ実験設備(ブレーキ試験機)を増設する予定です。これによって台上評価~ダイナモ評価~実車評価までを同施設内で実施することが可能になります。akebonoは、実車を基軸にした評価能力の向上、NVH解析技術やシミュレーション技術の向上による開発リードタイム削減を実現していきます。グローバル開発体制を確立し、さらなる開発競争力の向上を目指すとともに、グローバルでの評価技術の集約の実施や、ブレーキの専門家として自ら提案できる人財を育成する開発技術者育成を行う場としても活用していきます。


  • ※NVH:Noise Vibration Harshness(鳴き、振動、路面の凹凸による振動)

日本機械学会賞(技術)を受賞

『P1TM』用ブレーキシステム

akebonoは「市販ロードカー用高性能自動車ブレーキの開発と量産化」で、一般社団法人日本機械学会より2015年度「日本機械学会賞(技術)」を受賞しました。このブレーキシステムは、英国マクラーレン社の超高性能ロードカー「P1TM」に搭載されています。

同賞は、日本の機械工学と工業の発展を奨励することを目的に設けられたもので、1958年の開始以来、毎年、優れた論文、技術、製品が表彰されています。今回の受賞では、「超高速・高温域からの安定した制動力」、「大幅な軽量化」、「市街地走行での快適性」の3点を高次元で実現した点が評価されました。

akebonoの受賞は1982年以来34年ぶり、2回目となります。